なんのための努力だったのか。
なんのために我慢だったのか。
今までずっと一人で頑張ってきたわたしの心は完全にポキッと折れてしまった。
それから頑張ることも努力をすることもやめた。
どう足掻いても、どうにもならないことがあるのだと幼いながらに知ってしまったから。
「柊磨はわたしのこと天使だって言ってくれたでしょ?」
さっきから黙って聞いてくれている彼はわたしの言葉に静かに頷いた。
「でもわたしには羽がない。飛べないんだよ」
みんなが希望に満ちた未来へ羽ばたいていくのに、最初から羽のないわたしはどこへも行けない。
「家族を知らないわたしと家族になんてなれないんだよ」
自分で言葉にした瞬間、鼻の奥がツンと痛み、目の縁からじわじわと涙が染み出てくる。
そんなことはないと芙実も言ってくれたし、わたしだってそう思いたかったけど、彼の言葉は思ったよりもわたしを縛り付けていて、いつしか芙実以外の人に自分の心をさらけ出すのさえ、怖くなって必死で心を隠して自分を守ってきた。
これできっと柊磨もわたしを諦める。



