あの女とは誰のことなのか。
アイツとは誰のことなのか。
聞きたいことはあったけど、今のわたしにそんなこと聞く権利はどこにもない。
大切な親友を助けるためとはえ、柊磨を危険な目に遭わせてしまったのだから。
「芙実ちゃんは優大たちが助けて家まで送り届けてるから安心して。すぐに会わせてあげたかったけど眠ってたみたいだから」
「そっか……。助けてくれてありがとう」
「俺はお前が嘘ついてることくらいわかるし、今回は芙実ちゃんが危なかったんだから誰だって助けたくなって当たり前だ」
だからそんなに泣きそうな顔すんな、そう言いながらわたしの頬をそっと親指で撫でた。
先程、後堂に撫でられた時とはまるで違う感情に胸が熱くなる。
怖かった。
みんながいなくなってしまったらどうしようって。
芙実も柊磨もみんなわたしのせいで不幸になったらって考えたら怖くて仕方なかった。
「んで、俺に伝えたいことって?」
頬を撫でていた手が顎に移動して、そのまますいっと顎を掬いあげられた。
深く穏やかに光る緋色に今にも泣き出してしまいそうな自分の顔が映っている。



