「うっ……」
痛みから表情を歪ませる柊磨。
口の端から血がじんわりと滲んでいる。
思わず、ギュッと目を瞑ったけど、
「ハハッ……!」
突然、柊磨の乾いた笑い声が工場全体に響き、その笑い声につられるように閉じていた目を開けた。
「何笑ってんだよ」
機嫌を悪くした後堂が柊磨の胸ぐらをグッと掴んだ。
「お前のバカさ加減には毎度呆れちまうよ」
そう言って後堂を見るその瞳に温度はなく、酷く冷たいもので思わず背筋がゾクッとするようなものだった。
まるで、ゴミでも見るかのような目だ。
「なんだてめえ……!」
他の奴に腕を掴まれているはずなのに殴ろうと振りかざした後堂の拳を今度はすっと避けると、「だからお前はいつまで経ってもゴミなんだよ」と言って足蹴りを後堂の腹にくらわせ、よろけた隙に腕を掴んでいた一人の男にも頭突きをくらわせて自由になった手で残りの一人も殴り飛ばした。
あんなに不利な状態だったのに瞬きもしないうちに形勢逆転していた。
本当に柊磨って強いんだ。
どこか伝説的な盛られた話かと思っていたけど、彼の強さを今ひしひしと肌で感じている。
「好きな女に裏切られた?バカじゃねえの」
柊磨はそのまま立ち上げると、腹を押さえながら彼を睨んでいる後堂を嘲笑うかのように言葉を発する。



