「……彼を連れてきたら、芙実を助けてくれるの?」
『物分かりのいい女だ。お望み通り助けてやろう』
『珠莉……!こんなやつの言うことなんか聞かなくていいから!わたしのことは、キャ……っ!』
『うるせえんだよ。ちょっと黙ってろ』
「芙実!?大丈夫!?ねえ!!芙実は大丈夫なの!?」
『うるせえからちょっと眠ってもらっただけだ。そんなことより俺の言うことは聞くのか?』
「……わかった。その代わり、絶対芙実は助けて」
『交渉成立だ。今日の19時に赤嶺と一緒に3丁目の廃工場に来い。赤嶺に全て話したり、警察に行ったりしたら女の命はないと思え』
それだけ言うとブチッと乱暴に切られた。
今の時刻は18時。
今から柊磨に来てもらって、指定された場所に向かえばきっと約束の19時には間に合うだろう。
わたしからの連絡なら彼は飛んでくるだろう。
【伝えたいことがあるから今すぐ来て】
文字は打ち込み終わっているのに、送信ボタンが押せない。
芙実を助けるには彼を騙すしかないのに。
これでわたしと彼の関係は完全に終わってしまう。
わたしが望んでいた関わりを失くすということが叶うのに、どうしてこんなに胸が締め付けられるように痛むんだろう。



