頑張れ、わたし。
訴えられなんかでもしたら施設の人にも店長にも迷惑がかかるし、何よりバイトなんてやめさせられる。
そうなれば、またわたしは振り出しに戻ってしまう。
どうしよう。
どうしよう。
頭をフルで回転させているつもりなのに動揺からか何もいい案が思いつかない。
「あ、の」
「良い歳した大人がそんなかっこ悪いことしちゃダメですよ」
わたしが必死に言葉を絞り出そうとした瞬間、そんな言葉と共に横から伸びてきた手がわたしの腕を掴んでいる男性の腕を掴み、ぐいっと持ち上げられた。
パッとそちら見れば、先程わたしが案内した3人組の内の一人、燃えるような深みのある赤い髪をした人だった。



