そして、今がそのよっぽどの時だとわたしは思った。
どう見てもこの人、ややこしそうだし。
タダにしたら怒りも沈めてくれるだろう。
「はあ?それじゃあ俺がクレーマーみたいじゃねえか」
クレーマーなんだよ。
どう考えてもその短い髪の毛は山田さんのじゃないし、キッチンの人は衛生面も考慮して髪の毛を出さずに帽子を被っているから髪の毛なんて入らない。
おそらく、自分で入れたのだろう。
なんてめんどくさい奴に引っ掛かっちゃったんだろう。
「とんでもございません、お客様にはご迷惑を……」
言葉の途中でグッと掴まれた腕にビックリして下げていた頭を思わず上げた。
ぞくり、と身体に嫌悪感が走る。



