自転車を10分位走らせ、”ガトーショコラ”に着いた。

カラン、カラン♪♪

ドアベルが鳴ると可愛らしい小柄な女性が中から出て来た。
顔は幼いが振る舞いからして私より歳上だろうか…。

「18時から面接をお願いしている小高深雪と申します。」

ペコっとお辞儀をすると、定員の女性は笑顔で奥へと案内してくれた。

奥の部屋は従業員の控室だった。ロッカーと洗面台がある六畳位の部屋で椅子に座って待っていた。

「今、担当の者が来ますのでしばらくお待ちください。」

そう言うと女性は外へ出ていった。

5分位待っただろうか…。
トントン♪

「はい!」

びっくりして思わず大きな声で返事をしてしまった。

「失礼します。
小高さん、元気があって良いですね。」

コックの様な格好をしたその人はマスクを外しながらそう言った。

身長は165cm位だろうか、私より低いのは明らかだった。

目は細いが、笑ったその目尻の笑いシワと口元が素敵で思わず見とれてしまった。

「はじめまして、小高深雪と申します。すみません、驚いて大きな声を…」

「いや、それくらい元気な方が素敵ですよ。」

男性から素敵なんて言われた事がなかった私は自分の顔が熱くなるのを感じた。