工場は深雪の想像以上に広く、
中には10名位の従業員がケーキを作っていた。

深雪が驚きながら、辺りを見回している姿を関は
ニコニコしながら見つめていた。

「小高さんには今日、パイ生地を型にはめてもらいます。
少し難しいから頑張ってね」

そう言うと関は他の場所へ指導する為に去っていった。

一緒に仕事ができるかも…
と期待していた深雪は
少しがっかりした。

お昼休みになり、持ってきたお弁当をロッカールームで食べていた。

トントンとドアをノックする音が聞こえ、返事をすると…。

深雪は目を丸くした。

そこに立っていたのは関だった。

「お疲れ様、どうだい?
立ち作業は疲れるだろう?」

「はい…。でもお菓子作り好きなんで、ワクワクします。」

「なら、よかった。
何か困ったこととかあったら言ってくれ。できることはするから。」

「はぃ、ありがとうございます。」