今日は土曜日。
待ちに待ったバイトの初出勤。

深雪は朝からドキドキしていた。
こんな胸の高鳴りは久しぶりだった。

カラン、カラン♪

予定の15分前にガトーショコラのドアベルを鳴らす。

ガトーショコラの店内は甘い香でいっぱいだった。

ん〜いい香り。

こんな香りの中で仕事できるなんて…

想像しただけで深雪は幸せだった。

しばらくするとパティシエ姿の関が店の奥から出て来た。

「小高さん、おはようございます。」

所々にチョコを付けた関は愛おしく見えた。

「おはようございます。
今日からよろしくお願いします。」

「じゃあ、奥のロッカールームに
制服を用意して置いたから、
着替えて準備が出来たら
工場まできて下さい。」

「わかりました。」

関の姿に見とれている間もなく、
深雪は着慣れない制服に身を包み、
エプロンを付けて工場に向かった。