「ああ、霞月なら安心できるよ」

ガンちゃんの笑顔はどこかぎこちなかったが、ガンちゃんの声は優しかった。

数日後の休み時間。

知らない女子に呼び出された。

「あの、友だちからでいいので付き合ってください」

女子から、こう切り出されるのは何人目だろうと思った。

休み時間はゆっくり休みたいのに、毎回思う。

コクってくる女子がいつもわざわざ、校舎から見える場所でコクってくるのは何故だろう。

不思議で仕方ない。

「君、初めて会うよね」

「はい……でも、ずっと好きでした。だから」

「全く知らない奴と付き合う気はないから」

「友だちからでもダメですか」

「初めて会うのに友だち、それもない」

いつもは、こう言うと相手側から「握手、お願いできますか」と言われるから、握手くらいならと握手する。

それでおしまい。

でも、今日はひと言付け加えた。