〇せわの家・玄関(放課後)

 家に帰り、玄関で靴を脱ぐ。玄関には男子用のローファーが並んでいる。

 せわ「ただいま〜」

 廊下を歩き、ダイニングルームに行く。するとキッチンで、エプロンをつけてフライパン片手に料理をしている理人が。

 理人:黒髪の高身長。切れ長の目に、整った顔をしている。威圧的で近寄り難い雰囲気。

 理人「――おかえり。せわ」

 理人は、女子生徒たちから密かに憧れられる存在だ。

 せわ「ただい……ま」

(みんなには絶対に言えない。コワくてモテる高杉くんと幼馴染で、毎日世話してもらってるなんて……!)

 もしこのことがバレたら、嫉妬したファンに殺される……! そう思って、せわは固唾を飲んだ。



 ○(回想)

 せわと理人は家が隣同士。幼いころせわの母親は病死し、父親はいつも仕事で外に出ていた。理人の家族はせわのことを心配して、ご飯に呼んでくれたり、何かと世話を焼いてくれていた。その両親を見ていたからか、理人もせわを気にかけるように。

 高校生になった今も毎日のように家に来て、ご飯を作り、家事を手伝ってくれている。理人の親もせわの父も、それを公認している。

 せわは包丁で指を切ったり、卵焼きを作ろうとしたら炭を生み出したりする。トイレ掃除で食器用洗剤を使ってしまい、泡だらけにしたことも。

 せわ「理人はさ。どうして私の世話を焼いてくれるの?」
 理人「お前、ほっといたらいつか家とか爆破しそうで怖いから」
 せわ「しない……! ――とも言いきれない……」

 電子レンジで卵を爆破させた前科を思い出し、せわは苦虫を噛み潰したような顔をする。

 理人「だろ」

 ○(回想終わり)