四月のきみが笑うから。


 誰よりも会いたくて、話がしたくて、顔を見られると嬉しくて。

 一日のなかで彼と過ごす時間こそが、わたしの楽しみになっていた。


 会えない日は泣くほど苦しくて、名前を呼ばれるたび胸が高鳴って、呼吸の仕方を忘れてしまう。朝起きたらいちばんに会いたくて、彼の顔を見てから眠りにつきたい。

 そんなふうに、毎日毎日、彼のことを考えている。


 信じていいよ、と。

 そう言われたとき、なんの迷いもなくうなずける自分がいた。


 信頼と愛は、無条件に与えることができるのだと。そして自分も与えられたいと、人生ではじめて思った。


 この感情は、きっと恋。

 経験したことがなくても、わたしはこの気持ちを知っている。
 ずっとずっと昔から知っていたような気さえしていた。


「来いよ」


 スッと伸ばされた手がわたしを呼んでいる。