「元気ないのは、なんで?」
ここ数日、先輩に会えなかったからですよ、なんて。
そんなこと恥ずかしくて言えるはずがない。
ぶんぶんと首を横に振る。
「せ、先輩は最近なにしてたんですか」
妙に早口になってしまう。
質問に質問で返してしまったのに、先輩は気分を害した素振りもなく、柔らかく笑っていた。それからじっとわたしを見つめたあと、ゆっくりと息を吐いて目を伏せる。
「図書館で勉強してた。あとは学校に残って講習会の日もあったな」
「あ……なるほど」
「寂しい気持ちにさせて悪かったな」
「……別に、大丈夫です」
つい、言葉が出てしまう。
本当は何も、大丈夫なんかじゃないのに。
ふっ、と口許を緩ませた先輩は「素直じゃねーの」なんて言って笑っていた。
すべてバレている。わたしが今日まで元気がなかった理由も、先輩の返答からしてバレてしまったようなものだろう。
先輩が小さく息をついて、前を向いたまま口を開く。



