「だったらどうしてできないの。怠けってこと? あのねぇ瑠胡。学生は勉強が仕事なんだから、逃げ出すわけにはいかないでしょう」
「……」
「せっかく良い高校に入れたのに、そんなんじゃすぐに置いていかれるわよ」
淡々と述べるお母さんをじっと見つめると、「なにその目」と声のトーンがまた低くなる。
だけどもう、うんざりだった。
勉強、勉強、勉強って。
確かに勉強ができるに越したことはない。だけど、勉強がすべてではない。
「わたしはちゃんと勉強してる。だけど、勉強ばかりは嫌なの」
「だからどうして?」
こうして一つの物事に対して、理由や理屈を求めてくるのが嫌いだ。
感情を理解することができないのかと、心底嫌になる。
いつもなら、ここで口をつぐんで終わりだった。
けれど、クラスメイトとのすれ違いや、先輩と会えていないストレスで、とどめるはずだった言葉が口をつく。



