四月のきみが笑うから。


「だったらどうしてできないの。怠けってこと? あのねぇ瑠胡。学生は勉強が仕事なんだから、逃げ出すわけにはいかないでしょう」

「……」

「せっかく良い高校に入れたのに、そんなんじゃすぐに置いていかれるわよ」


 淡々と述べるお母さんをじっと見つめると、「なにその目」と声のトーンがまた低くなる。

 だけどもう、うんざりだった。

 勉強、勉強、勉強って。

 確かに勉強ができるに越したことはない。だけど、勉強がすべてではない。


「わたしはちゃんと勉強してる。だけど、勉強ばかりは嫌なの」

「だからどうして?」


 こうして一つの物事に対して、理由や理屈を求めてくるのが嫌いだ。

 感情を理解することができないのかと、心底嫌になる。


 いつもなら、ここで口をつぐんで終わりだった。

 けれど、クラスメイトとのすれ違いや、先輩と会えていないストレスで、とどめるはずだった言葉が口をつく。