だけど、子供には子供なりの苦悩があって。耐える苦しみや背負う重さは、きっと比較するものではなくて。

 誰かにとっての普通は、わたしにとっての特別。

 逆に、わたしにとっての普通を特別と感じる誰かだっているだろう。


 その人なりの「苦しさ」や「悲しみ」に寄り添って、「辛かったね」ってただ一言。

 そう言って優しく背中を撫でてくれる人で世界が溢れたならば、きっと誰もが生きやすい世界になるはずなのに。


 人はみな、自分のことに一生懸命だ。自分の人生を輝きあるものにすることで精一杯で、他人のことなど見えていない。


 ただ一人、世界でたった一人だけ。
 自分以外で、同じように見つめることができる人が存在するのならば。

 そんな人に巡り会えたのならば。


 その奇跡を人はきっと【愛】と呼び、狂おしいほど歪んだ想いを、大切に紡いでいくのだろう。