四月のきみが笑うから。



「俺、瑠胡が好きだ」



 波の音も、鳥の鳴き声も、木の葉のざわめきも、全てが消えた。


 先輩の声だけがわたしの鼓膜を震わせ、心の内にあたたかさを運んでくる。


「それなのに怖くなって、嫌いだって嘘ついて逃げた。本当に悪かった」

「……せん、ぱい」

「瑠胡は初めから、俺にとって特別だよ」


 先輩の口から発せられる言葉が信じられなくて、息を呑んでいると、やや緊張したように顔を強張らせた先輩は言葉を続ける。


「やっぱ自分で決めた道だから、俺頑張ってみるよ。アイツが負けた病気に、今度こそ勝ってみせる。……いや、そもそもアイツは負けてなんかないから」


 彼らはやっぱり、お互いのことが好きだ。

 なかなか素直になれなくて、すれ違っている部分があったとしても、互いに支え合っている。


 その兄弟『愛』は、決してくだらないものなんかじゃなかった。

 素敵で、神秘的で、誰にも侵せない愛の形。