「瑠胡に弱さを見せたくなくて、怖くなって、逃げた。俺がいなくても瑠胡はもう十分立派に生きていける。そう思ったら、もう俺がそばにいる理由なんてないんじゃないかって」
先輩も、先輩のお兄さんも、弱さをみせるのが下手くそだ。
糸がちぎれてしまうギリギリまで我慢して、ほぼちぎれた頃に吐き出すのだから。
『そろそろアイツ、壊れるだろうから。どうか守ってやってほしい。こんなこと、瑠胡ちゃんにしか頼めないんだ』
僕にはそれすらもできないから────。
珀都くんの言葉がフラッシュバックする。
彼の目が、わたしにそう訴えているような気がした。
笑ったとき、目尻にしわがよるところ。口の右端がちょっとだけ上がるところ。
微笑んだときの表情と仕草が、思えばいつも重なっていた。
そしていちばん似ているところは、互いが互いを好きなところ。
「人の命助けたいとか、憧れだとか、そんな理由じゃないから幻滅しただろ」
自嘲する先輩は、わたしの手をそっと離した。まるで自分とは別物だと、そう言われたような気がした。
「いいんじゃないですか、理由なんて」
気づいたら口からこぼれていた。
わたしの言葉に顔をあげた先輩は、何かを期待するような瞳でこちらを見つめる。



