◯凪の家のリビング(15時頃)

紡「お茶でよかった?」
うらら「えっ、あっ、はいっ!ありがとうございます!」

紡からお茶を受け取るうらら。
にこにこと爽やかな笑顔を向ける紡に思わず視線を外す。
凪とは違い、笑顔が多く、口調も穏やか。
色で例えるなら、凪が白や黒、紡は黄色やオレンジ。

お菓子が入った入れ物を片手にうららの隣に座る凪。

凪「戸上の好みがわかんねぇからあるもの全部持ってきた」
うらら「ええっ」
凪「好きなの食べなよ」
うらら「あ、ありがとう」

二人のやりとりをにやにやしながら見つめる紡。

(…どうしてこうなっちゃったんだろう)

◯回想

中間テストが全て終了し、部活に入っていないうららと凪は一緒に帰る流れに。帰り道はテストの答え合わせをしていた。そしてたまたま凪の兄・(つむぐ)と遭遇。女子と一緒にいることが珍しく、嬉しくなってしまった紡はうららを家に招き入れた。

◯回想終了



紡「うららちゃんは凪と仲良いの?」

紡の質問に答えようとすれば「気安く名前呼ぶなよ」となぜか少し不機嫌な凪。

紡「どうしたの、凪。俺にうららちゃん取られると思ってんの?」
凪「は?そんなこと一言も言ってねぇし」
紡「大丈夫だよ。俺は年上が好みだから」
凪「聞いてねぇ」

凪はめんどくさそうにお菓子に手をつける。選んだのはチョコチップクッキー。美味しそうだな、とうららも探すが見つからず、別のクッキーに手を伸ばした。

凪「戸上、これ」
うらら「え?」
凪「俺、別の食べたくなったから、あげる」
うらら「…いいの?」
凪「うん、いいよ」
うらら「ありがと!」

うららはありがたく受け取る。

その様子を優しく見守る紡。

家での様子とは違い、優しい眼差しを、苦手な女子に向けている凪に紡は嬉しくなり「二人ともお似合いだね」と投げかける。

うららはわかりやすく顔を赤くする。

紡(うららちゃんは凪のこと、少しは意識してくれてそうだなぁ。凪は—…)

うらら同様、顔をほんのり赤くした凪はキッと紡を睨む。

紡(凪もだいぶ意識してるのかな?今後のふたりに期待だ)