のーどくたーのーらいふ

樹くんからの電話が7件














樹[今どこにいるの、]














樹[お願い、場所教えて]














そんなメールも入ってきてた














電話をする気も返信する気も起きなかった














店員「おまたせしました、














こちら、ホットのロイヤルミルクティーです」














「あ、ありがとうございます」














店員「ごゆっくりお過ごしください」














店員さんにぺこっと頭をさげて














夜景を見ながら、ひとくち飲む














この展望台から見る夜景は














私が見てきた中で1番きれいで














この景色を見てるだけで涙が溢れてきた














ここで京と紡いだ時間と言葉














それが私をこの世界にとどめてくれる














ブーブーブー














着信画面を見ると‘京’という文字














樹くんが起こしたのか














まぁ、そりゃそうだよね














自分の患者で、














親友の彼女が行方不明なのに














寝かしとくのもおかしいか、














少し時間が経ってしまったけれど














未だに鳴ってる着信音














「...もしもし、」














京の声が無性に聞きたくて














京「凛」














いつもより遥かに落ち着いてる声














だけど、焦っていない声ではない














私をこの世界に繋ぎ止める真剣な声














私の心を優しく包んでくれるような声














私の大好きな京の声だ














「けい、」














私の未完成な弱い心は














そんな大好きな優しい声に縋りつく














「京のこと愛してる」