川原で/その1
ケイコ


時間ピッタリに、アキラが迎えに来てくれた

行先は通称「火の玉川原」

場所言ったらアキラ、分かるって

では、参るか

だいぶ緩めのメットをかぶりアキラのバイクへ

3度目だな、このバイクの後ろ

アキラの胴に両腕をまわす

今までより強く抱きついてやれ

...

アキラ、私のかっこ、昨日と全然違うでしょ

今日はこういう服着る場なんだよ

行ったらのけぞるかもね

でも、そこ連れていかないと始まらないんだ

私のホントのこと話せないんだよ

とにかく、アキラと一緒の夏が始まったんだ

アキラの体に触れてる今

そう実感するよ、ヒシヒシと

で、そろそろ川が見えてきた

麻衣、待ってろ、アキラを紹介するぜ

...


川原に着くと二人で土手を降りた

今日は集会

割と来てる方か

アキラ、きょとんとしてるな

「あのテントに行こう」

アキラの手を引き、テントに入った

幹部連中が5人、麻衣を取り巻いている

おっと、またやってやがる、麻衣のヤツ

2人正座させて

高1かな?

かわいそうに、おびえてるよ

...


「おけい、誰だそれ」

「建田さんとこにいる人、バンドやってるアキラ」

ふーんって顔してる麻衣

「それよりこの二人どうした」

「フラチだよ。これからシメるとこだ」

麻衣はこう言ってから、今度はアキラの方へ向いた

「おたく!しらっと見てんじゃないよ!」

こいつ、こうなるとテンションは天井知らずだ

...


「おけい、部外者なんか連れてくんじゃねぇよ」

やれやれ、どうやら今日は取り込みそうだ

アキラ、ごめん、外で待ってて

「このふたり、隊の子じゃないだろ」

「隊のモンの男にちょっかい出したんだよ」

毎度のことだ、麻衣はレディースのアタマ

それで、私は各校を預かってる

まず事情を聴いてからだ、と言って二人を開放した

彼女らはこっちの領分だし、でっち上げも”十分”考えられる

おびえていた二人は、逃げるようにテントを出た

「やろう、いつも勝手な真似しやがって」

麻衣は立ち上がると、イスを蹴ってわめいた

わおーって感じだ

ここでテントに入ってくるんだな、各校側の幹部たちが

どうする、麻衣

そうか、何とかこぶし下してくれたか

一応、多数決の計算はできるらしい

では、面子も揃ったし、今日の議題に移ろうぜ

まずは、お待ちかねの”手当て”を配るとするか