一代の雄・相馬豹一、最後のダブルミーニング/その2
剣崎
「叔父貴、建田さんとは前もってでしたか?」
ここで俺の口から”確認事項”とした
隣で立っている矢島さんはじっと明石田さんの反応を注視して答えを待ってるようだ
「…ヤツめ、一緒にとあらかじめお誘いだ。まあ、そういうことだわ」
叔父貴のこの言葉は俺たち二人に向けたメッセージだと解釈していいだろうな
矢島さんも、微妙な表情で叔父貴のリターンをかみ砕いてるようだったし…
...
しばらくすると、建田さんが病室から出てきた
面会はおよそ7、8分といったところか…
「俺の次は矢島ってことだ。…ああ、俺と叔父貴はここで失礼するわ。まあ、近々は間違いないだろう。そん時また、よろしくな」
「わかった。叔父貴、今日はご苦労様でした」
「ああ、あとを頼む…」
矢島さんは俺と並んで二人を見送った後、やや口元を崩して俺に顔を向けずに言葉をかけてきた
「ふふ‥、建田は予想通りだな。何ともわかりやすい」
「ええ…」
うん、矢島さんの言う通りだろう
建田さんは、叔父貴の後ろ盾を組内外に示すことで跡目争いに臨むハラだ
確かに従来から明石田の叔父貴が、建田さんとその身内と親密な関係だといういうことは広く周知されているからな
だが、こっちは先刻承知だ
このことは他ならぬ明石田さん自身も…
フン、その上でってことになるさ、”後”のことは
...
矢島さんも会長とは10分に至らず終わった
「…最後までオヤジらしかったぞ、剣崎。明石田の叔父貴が話していた、そのまんまだった。細かいシグナルはお前に残すつもりだろ。しっかり掴んでくれ…、”それ”は。いいな、剣崎」
「承知しました…」
この時の矢島さんは俺の目をじっと見て、”託された”重みを感じずにはいかなかったわ
矢島さんはその後すぐに病院を後にし、午後3時を回ったところで俺は相馬会長の病室に入った
さあ、事実上会長との最後の会話となる
それは本家付きの責任者として、相馬さんからビジネス上の遺言を授かるラストミーティングも兼ねるんだ
...
病室に入ると、会長はベッドから上体を起こしていた
「会長、よろしいんですか?無理はされないほうが…」
「いや、平気だ。剣崎、カギかけとけ」
「はい…」
始まった…
さすがにこみ上げてくるものがあり、俺はベッドの横でイスに掛け、ペンとメモを手にすると全身がジンジンしてきた
だが、感傷的になる訳にはいかない
しっかり聞き届けなくては…
俺はそう自分に言い聞かせてから、会長に顔を向けた
「なら、いいか。剣崎…」
「はい、お願いします」
この時、病室の窓から射す西陽は、二人の間に眩しく居座っていた
これから始まる会話での立合人のように…
剣崎
「叔父貴、建田さんとは前もってでしたか?」
ここで俺の口から”確認事項”とした
隣で立っている矢島さんはじっと明石田さんの反応を注視して答えを待ってるようだ
「…ヤツめ、一緒にとあらかじめお誘いだ。まあ、そういうことだわ」
叔父貴のこの言葉は俺たち二人に向けたメッセージだと解釈していいだろうな
矢島さんも、微妙な表情で叔父貴のリターンをかみ砕いてるようだったし…
...
しばらくすると、建田さんが病室から出てきた
面会はおよそ7、8分といったところか…
「俺の次は矢島ってことだ。…ああ、俺と叔父貴はここで失礼するわ。まあ、近々は間違いないだろう。そん時また、よろしくな」
「わかった。叔父貴、今日はご苦労様でした」
「ああ、あとを頼む…」
矢島さんは俺と並んで二人を見送った後、やや口元を崩して俺に顔を向けずに言葉をかけてきた
「ふふ‥、建田は予想通りだな。何ともわかりやすい」
「ええ…」
うん、矢島さんの言う通りだろう
建田さんは、叔父貴の後ろ盾を組内外に示すことで跡目争いに臨むハラだ
確かに従来から明石田の叔父貴が、建田さんとその身内と親密な関係だといういうことは広く周知されているからな
だが、こっちは先刻承知だ
このことは他ならぬ明石田さん自身も…
フン、その上でってことになるさ、”後”のことは
...
矢島さんも会長とは10分に至らず終わった
「…最後までオヤジらしかったぞ、剣崎。明石田の叔父貴が話していた、そのまんまだった。細かいシグナルはお前に残すつもりだろ。しっかり掴んでくれ…、”それ”は。いいな、剣崎」
「承知しました…」
この時の矢島さんは俺の目をじっと見て、”託された”重みを感じずにはいかなかったわ
矢島さんはその後すぐに病院を後にし、午後3時を回ったところで俺は相馬会長の病室に入った
さあ、事実上会長との最後の会話となる
それは本家付きの責任者として、相馬さんからビジネス上の遺言を授かるラストミーティングも兼ねるんだ
...
病室に入ると、会長はベッドから上体を起こしていた
「会長、よろしいんですか?無理はされないほうが…」
「いや、平気だ。剣崎、カギかけとけ」
「はい…」
始まった…
さすがにこみ上げてくるものがあり、俺はベッドの横でイスに掛け、ペンとメモを手にすると全身がジンジンしてきた
だが、感傷的になる訳にはいかない
しっかり聞き届けなくては…
俺はそう自分に言い聞かせてから、会長に顔を向けた
「なら、いいか。剣崎…」
「はい、お願いします」
この時、病室の窓から射す西陽は、二人の間に眩しく居座っていた
これから始まる会話での立合人のように…



