ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

オリジナル原稿版/相馬豹一葬儀シーン~麻衣とケイコの対峙とその真実/その13
ケイコ



あと3人で私の番だ…

正直、こんな大きいお葬式なんか初めてなんで、この場の雰囲気に呑まれちゃうよ

ふう…、それに正面の相馬さんの遺影

凄く心に届く感じがね…

一応、最後の別れはしっかり済ませた訳なんだけど…

名残惜しいと言うか、もっともっと接していたかったって…

私にとっては、あの人…、やはり特別な存在だったのは間違いないよな





麻衣が視界に入った

なんかアイツ、様になってるなあ…(苦笑)

相馬さんの話では、麻衣、まだクスリやめる気ないみたいだけど…

そうなるとこの夏、私たちは別々の道を歩むことになるんだろうか

相馬さんが亡くなって、これから新しい会長さんが決まる訳だし、少なくとも今までどおりは無理だよね

麻衣は一体、これからどう立ち振る舞っていくつもりなのか…

...


”…相馬さん、いろいろお世話になりました。安らかに眠ってください。あなたとの約束はこの夏、しっかり果たします。不安も一杯ですが…。見守っててくださいね、相馬さん”

焼香して目をつぶって、私は短いが、この言葉を心で呟き、お別れの儀式を済ませた

目を開け、遺影に向かって深く一礼した後は、親族席に向かっても一礼をもって挨拶をした

麻衣…

ヤツも私も互いに一礼しあい、粛々と”もうひとつの儀式”をこなしてる

...


互いに頭を上げると、今度は数秒間、無言で麻衣と私は視線を交わ合った

クスリは終いにするが、ヤツとはまだ終わっていない…

もっとも、私たち二人はいくらぶつかっても、本当の決着なんてあり得ないのかも知れない

また、それって、私らの間では無意味なものかもね

だけど、ぶつからずにはいられない…

そんなね、なんかね…

いずれにしても、麻衣…、この夏はいろいろあるよな

またがっちりやり合うしかないんだろうよ、アンタと私はさ…