猛る狂気/その3
アキラ
埼玉南端の線路脇にたたずむ6階建ての”リッチネル”
この”白い建物”は、都県境の若者にとっては時別な場所だ
すてきな恋人作って、いつかここで…
なにしろ、リッチに寝るだもん
しゃれた外観もあって、性欲にかられた年頃には文句なし、リッチネルはステータスだった
誰もが、心の中で密かにエロい誓いをたててることだろう
もっとも、オレはここ、今日が初めてだ
きっと、ケイコちゃんとの時までとっといたんだ
キザでもなんでもないよ
ケイコちゃんとオレの、長いこの夏だったんだ
そう思えてくるって
...
最上階の部屋で二人は午後の昼下がり、激しく愛し合った
互いにむさぼるように
当然さ
あの大阪へ向かった夜からのことを思えば、獣同士のように抱き合うさ…
...
頻繁に通過する電車の音、不思議と心地いいや
電車が猛スピードで去ってったあとも、彼女の荒い息は続いているんだ
何台も何台も轟音と共に、車中の人が通り過ぎて行ってる
だけど、ここでの二人の行為は続く…
あの日以来、ずっと裂かれていたオレたちは繋がっている時間をかみしめるかのように、何度も繰り返した
果てることで終わりにしたくなかった
そういうことだったんだと思う…
...
時計の針は午後3時近くを指していた
「アキラ、いいの、まだ出ないで。ここ高いんでしょ?アキラの部屋でもよかったのに…。私、今そんなにお金持ってないから…」
「大丈夫だよ。ケイコちゃんとはここって決めてたから。貯金してたんだ。今、その分くらいは持ってるから心配すんな。もう少し、いよう」
「うん。でも、アキラ、オーディション受けられなかったから。仕事、今ないんでしょ?私のせいだよ…」
ベッドの横で彼女は、オレの首のあたりに顔をくっつけたまま、つぶやくようにそう言った
この子のせいかよ…、違うって
麻衣のせい?それともオレのせい?
誰かのせいとかはいいって、そんなの
...
「ケイコちゃん、これからのことはここ出てから、ゆっくり話そう。しばらくはこのままだ。ねっ?」
「うん、そうする」
「少し寝てもいいぞ。延長しとくから」
「たぶん、眠れないと思う。でも、このままでいる。ふう…」
彼女はそう言って、さらにオレの首に顔を潜らせてきた
ゴットン、ゴットン…
また電車が通過した
「今電車に乗って、いっぱいの人が私たちのそばを通り過ぎたんだよね。でも、邪魔されてない。こうしてるの、誰にも邪魔されないのがとてもうれしいや」
どうやら、ケイコちゃんも思っていたことは同じだった…
アキラ
埼玉南端の線路脇にたたずむ6階建ての”リッチネル”
この”白い建物”は、都県境の若者にとっては時別な場所だ
すてきな恋人作って、いつかここで…
なにしろ、リッチに寝るだもん
しゃれた外観もあって、性欲にかられた年頃には文句なし、リッチネルはステータスだった
誰もが、心の中で密かにエロい誓いをたててることだろう
もっとも、オレはここ、今日が初めてだ
きっと、ケイコちゃんとの時までとっといたんだ
キザでもなんでもないよ
ケイコちゃんとオレの、長いこの夏だったんだ
そう思えてくるって
...
最上階の部屋で二人は午後の昼下がり、激しく愛し合った
互いにむさぼるように
当然さ
あの大阪へ向かった夜からのことを思えば、獣同士のように抱き合うさ…
...
頻繁に通過する電車の音、不思議と心地いいや
電車が猛スピードで去ってったあとも、彼女の荒い息は続いているんだ
何台も何台も轟音と共に、車中の人が通り過ぎて行ってる
だけど、ここでの二人の行為は続く…
あの日以来、ずっと裂かれていたオレたちは繋がっている時間をかみしめるかのように、何度も繰り返した
果てることで終わりにしたくなかった
そういうことだったんだと思う…
...
時計の針は午後3時近くを指していた
「アキラ、いいの、まだ出ないで。ここ高いんでしょ?アキラの部屋でもよかったのに…。私、今そんなにお金持ってないから…」
「大丈夫だよ。ケイコちゃんとはここって決めてたから。貯金してたんだ。今、その分くらいは持ってるから心配すんな。もう少し、いよう」
「うん。でも、アキラ、オーディション受けられなかったから。仕事、今ないんでしょ?私のせいだよ…」
ベッドの横で彼女は、オレの首のあたりに顔をくっつけたまま、つぶやくようにそう言った
この子のせいかよ…、違うって
麻衣のせい?それともオレのせい?
誰かのせいとかはいいって、そんなの
...
「ケイコちゃん、これからのことはここ出てから、ゆっくり話そう。しばらくはこのままだ。ねっ?」
「うん、そうする」
「少し寝てもいいぞ。延長しとくから」
「たぶん、眠れないと思う。でも、このままでいる。ふう…」
彼女はそう言って、さらにオレの首に顔を潜らせてきた
ゴットン、ゴットン…
また電車が通過した
「今電車に乗って、いっぱいの人が私たちのそばを通り過ぎたんだよね。でも、邪魔されてない。こうしてるの、誰にも邪魔されないのがとてもうれしいや」
どうやら、ケイコちゃんも思っていたことは同じだった…



