猛る狂気/その2
アキラ
「さあ、日が暮れるまでに一気だぞ!明日から天気は荒れ模様だ。今日いっぱいで仕上げる、いいな!」
昼食を終えた植木職人が戻ってきた
オレは、ケイコちゃんが持ち出したあと、”元”に戻した植木ばさみを注視した
「あれ?こんなふうにおいてたかな…。向きが逆なような…」
「おい、おめえ、眠気さしてんのか!シャキッと行けって!」
「はい、親方!」
若い職人さんは、”凶器”となる運命から逃れたハサミを、”やっと”手にしてくれた
...
その数秒後、ケイコちゃんの口からようやく言葉が出た
「アキラ…、あのハサミ、私を許してくれたの?」
「ああ、そうだね。あのハサミは血を見るのは嫌だったんだ。ケイコちゃんに血を出させることもね…」
「でも、ギリギリだったんだよ、アキラ。あなたを刺さなかった私、咄嗟の判断で、違う私だったよ。いいの、そんなんでも…」
「ケイコちゃん、いつもギリギリで踏ん張ってて疲れたろう。誰にでもできることじゃない、それって」
「ハア、ハア、ハア…」
ケイコちゃん、急に動悸が激しくなった
「おい、大丈夫か?しっかり!」
「うん…、大丈夫だよ、アキラ…」
ケイコちゃんは体の全体重をオレにかぶせてきた
この子の寄りかかる肉感は、何かを語り掛けてきてるようだ
それは独り言のように…
何語かはわからない、その言葉らしきメッセージは二人だけの言語で伝わった
そして…
...
オレはケイコちゃんの息が整ったのを見計らい、言葉をかけた
「おそくなったけど、ランチどうだ?」
「アキラ…、私、もう待ちきれないよ…。待ちわびた」
「…」
「待ちすぎて、気が変になってるって、半分。だから…」
「なら、ランチ抜きで行くか…」
「そうしたい。どこでもいいから…」
「わかった、行こう」
...
オレはバイクにケイ子ちゃんを乗せ、病院を出た
全く気のせいだと思うが、バイクを走らせた瞬間の感覚…
まるで人形を乗せてるようだった
人形なんかでたまるか!
戻してやるって…
あの”夜の海”で初めて会った時に!
アキラ
「さあ、日が暮れるまでに一気だぞ!明日から天気は荒れ模様だ。今日いっぱいで仕上げる、いいな!」
昼食を終えた植木職人が戻ってきた
オレは、ケイコちゃんが持ち出したあと、”元”に戻した植木ばさみを注視した
「あれ?こんなふうにおいてたかな…。向きが逆なような…」
「おい、おめえ、眠気さしてんのか!シャキッと行けって!」
「はい、親方!」
若い職人さんは、”凶器”となる運命から逃れたハサミを、”やっと”手にしてくれた
...
その数秒後、ケイコちゃんの口からようやく言葉が出た
「アキラ…、あのハサミ、私を許してくれたの?」
「ああ、そうだね。あのハサミは血を見るのは嫌だったんだ。ケイコちゃんに血を出させることもね…」
「でも、ギリギリだったんだよ、アキラ。あなたを刺さなかった私、咄嗟の判断で、違う私だったよ。いいの、そんなんでも…」
「ケイコちゃん、いつもギリギリで踏ん張ってて疲れたろう。誰にでもできることじゃない、それって」
「ハア、ハア、ハア…」
ケイコちゃん、急に動悸が激しくなった
「おい、大丈夫か?しっかり!」
「うん…、大丈夫だよ、アキラ…」
ケイコちゃんは体の全体重をオレにかぶせてきた
この子の寄りかかる肉感は、何かを語り掛けてきてるようだ
それは独り言のように…
何語かはわからない、その言葉らしきメッセージは二人だけの言語で伝わった
そして…
...
オレはケイコちゃんの息が整ったのを見計らい、言葉をかけた
「おそくなったけど、ランチどうだ?」
「アキラ…、私、もう待ちきれないよ…。待ちわびた」
「…」
「待ちすぎて、気が変になってるって、半分。だから…」
「なら、ランチ抜きで行くか…」
「そうしたい。どこでもいいから…」
「わかった、行こう」
...
オレはバイクにケイ子ちゃんを乗せ、病院を出た
全く気のせいだと思うが、バイクを走らせた瞬間の感覚…
まるで人形を乗せてるようだった
人形なんかでたまるか!
戻してやるって…
あの”夜の海”で初めて会った時に!



