オリジナル原稿版/相馬豹一葬儀シーン~麻衣とケイコの対峙とその真実/その12
剣崎
「おい、能勢…、ケイコにはしばらく受付の脇で待ってるように伝えろ」
「わかりました」
よし、即矢島さんに告げるぞ!
俺は、葬儀委員長として弔問客を迎えている矢島さんの元に走った
...
「…すいません、先程の遣いの者の件でお話が…」
「うむ…。そこの祭壇の陰で話そう」
...
「…何?”もう一人”の娘をだと…。おい、剣崎!いくらなんでもよう、未成年の子供に呼び出し状なんぞ持たして、あの建田が受け取るかよ!それこそ逆手にとって来るって。尾ひれ背びれでいいように利用されるさ。こっちの首絞めるようなもんだろーが!」
「親分…、生前の会長は今日の二人を同等に扱ってきましたが、今日の立場は分けるという指示でした。それって、自分が他界した後の我々を思っての、相応の考えがあってのことですよ!」
「…」
矢島さんは何を言ってるんだろうって表情だった
「…麻衣は一目で相馬豹一と血が繋がってると、今も関西の実力者組長の五島さんが申してました。しかし、もう一人とはですよ、すれ違っても気づきませんでしたよ。でも、相馬会長が与えた”立場”は同じなんです!彼女たちの”立場”は、組のもんには今ならまだ通用します。…ケイコに持たせましょう。これが麻衣だと、全くの逆効果を生む。会長はどっちも、生前からそれぞれに活かせる立場が訪れると読んでいたはずですから、今回は…」
俺は小声で熱弁をふるった
...
「うーん、だがよう…。あんな女子高生になあ…」
「建田さんは、麻衣とケイコの違いだって知り得ていやしませんよ。でも、あんな普通の子が亡くなった会長の血筋として直に力を与えていたとなれば、麻衣に対してとは捉え方が違ってきます。…確かこの後、伊豆の叔父貴は建田さんと連絡取ってて、例のライブハウスに赴くんですよね?」
「ああ、しばらくしたら会って来るとな」
「では、葬儀委員長からの然るべき書面は、”もう一人”の娘の方に持たせることを承知してもらいましょう。彼女は叔父貴を交えた上で建田さんと会います。それなら、叔父貴がこっちの意を汲んでもらって、うまく仕切ってくれますよ」
「…わかった。書面は用意してあるから、すぐそっちに持たせる。俺は叔父貴にその旨伝えてくるわ」
「お願いします。同行者もそれなりに”配慮”をしておきますので、ご安心を…」
「ああ、頼むぞ!」
よし…、矢島さんの承諾を得たぞ
さあ、次はケイコだ…
...
「ああ、ケイコ、待たせてすまん…」
「いえ…」
「実は、これからお前に行ってもらいところがある…」
「これからですか…?」
ケイコは特段嫌がってる素振りではなかったが、ちょっと面食らたって様子だったな
剣崎
「おい、能勢…、ケイコにはしばらく受付の脇で待ってるように伝えろ」
「わかりました」
よし、即矢島さんに告げるぞ!
俺は、葬儀委員長として弔問客を迎えている矢島さんの元に走った
...
「…すいません、先程の遣いの者の件でお話が…」
「うむ…。そこの祭壇の陰で話そう」
...
「…何?”もう一人”の娘をだと…。おい、剣崎!いくらなんでもよう、未成年の子供に呼び出し状なんぞ持たして、あの建田が受け取るかよ!それこそ逆手にとって来るって。尾ひれ背びれでいいように利用されるさ。こっちの首絞めるようなもんだろーが!」
「親分…、生前の会長は今日の二人を同等に扱ってきましたが、今日の立場は分けるという指示でした。それって、自分が他界した後の我々を思っての、相応の考えがあってのことですよ!」
「…」
矢島さんは何を言ってるんだろうって表情だった
「…麻衣は一目で相馬豹一と血が繋がってると、今も関西の実力者組長の五島さんが申してました。しかし、もう一人とはですよ、すれ違っても気づきませんでしたよ。でも、相馬会長が与えた”立場”は同じなんです!彼女たちの”立場”は、組のもんには今ならまだ通用します。…ケイコに持たせましょう。これが麻衣だと、全くの逆効果を生む。会長はどっちも、生前からそれぞれに活かせる立場が訪れると読んでいたはずですから、今回は…」
俺は小声で熱弁をふるった
...
「うーん、だがよう…。あんな女子高生になあ…」
「建田さんは、麻衣とケイコの違いだって知り得ていやしませんよ。でも、あんな普通の子が亡くなった会長の血筋として直に力を与えていたとなれば、麻衣に対してとは捉え方が違ってきます。…確かこの後、伊豆の叔父貴は建田さんと連絡取ってて、例のライブハウスに赴くんですよね?」
「ああ、しばらくしたら会って来るとな」
「では、葬儀委員長からの然るべき書面は、”もう一人”の娘の方に持たせることを承知してもらいましょう。彼女は叔父貴を交えた上で建田さんと会います。それなら、叔父貴がこっちの意を汲んでもらって、うまく仕切ってくれますよ」
「…わかった。書面は用意してあるから、すぐそっちに持たせる。俺は叔父貴にその旨伝えてくるわ」
「お願いします。同行者もそれなりに”配慮”をしておきますので、ご安心を…」
「ああ、頼むぞ!」
よし…、矢島さんの承諾を得たぞ
さあ、次はケイコだ…
...
「ああ、ケイコ、待たせてすまん…」
「いえ…」
「実は、これからお前に行ってもらいところがある…」
「これからですか…?」
ケイコは特段嫌がってる素振りではなかったが、ちょっと面食らたって様子だったな



