ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

果実たちの選択/その11
アキラ



オレと麻衣は、お互いの膝が触れるくらいの距離で、にらめっこするような態勢だった

目の前の麻衣はすっぴんだが、いつもながら威圧感は凄い

年下なのに、コイツを前にすると、どうも萎縮してしまう

「”お前の部屋”の時、決着ついてるたはずなんだが、改めてはっきりさせたいんだ。オレとケイコちゃんは、今後、お前とは一切無関係だ。お互い、何があろうとも…」

オレは麻衣の鋭い目を見つめながら、まずはこっちの意向をはっきりと告げ、一気に続けた

「…二度と接触はしないし、オレたち二人から、お前の存在をなくす。で、お前とはこれで終わりだ。お前には、この場でそれ、了解してもらいたい」

麻衣は表情一つ変えずに聞いていた

そして、少し間をおいてから口を開いた

「あなたたち二人の”これから”を邪魔するつもりは、毛頭ないわ。言ったと思うけど、”あの時”の監禁はあくまで、あなたを試させてもらっただけだし。私があなた達と、この後もああだこうだとかは無いわ」

麻衣の反応は、あっさりしたものだった


...



「じゃあ、了解でいいな」

「いいわよ。ただし、私が何しようと、勝手よ。それは分かってるわね?」

「お前がこれから何しようと勝手だ。オレとケイコちゃんは、それでお前がどうなろうと、知ったことじゃない。いいんだろ?それで」

オレはこれでもかってくらい、麻衣を突き放すような口調で、さらに念を押した

「ええ、そうね。フフ、これで安心したって顔してるわね、アキラ」

「ああ、当然だろう。オレたちはお前が仕掛けたことで、散々苦しんだんだ。オレ達がとばっちり受けなきゃ、何でもやってくれ。もう知ったことじゃない。そういう事だ」

ここで麻衣は一度うつむいて、また顔を上げた

これ…、麻衣の独特の仕草だ

いつもドキっとすることを口にする前によく見せる、例の間合いだ

思わず条件反射的に、嫌な予感がオレの頭をよぎった


...



「アキラ…、ひとつだけ言っとくわ。あなた達から私の存在を消すってのね…、それは無理よ。残念だけど」

表情も口調も穏やかだったが、どこか確信を持った言葉に感じた

「それ、どういう意味だよ」

「うーん、言葉じゃうまく言えないけど、近いうちわかると思う。私の言ってる意味、”ああこういうことだったのかって”…」

「…」

オレの胸中は一気に曇った

麻衣は、こういう言い回しで、相手の深いところを一突きだ…

そこで相手が動揺を示せば、それ、攻めどころとして見逃さない

その後は、矢継ぎ早に手のひらに乗せちゃう

この言わば”瞬間芸”が、コイツの怖ろしいところなんだ