果実たちの選択/その10
ケイコ
陸上部の顧問で担任でもある志田先生は、私の前で立止まった
「横田…、ちょっと、こっち来てくれるか」
先生はそう言って、校門の塀の陰まで私の手を引いた
「ああ、先生…、あの私…」
「うん、横田、久しぶりだな。あのな、まずいんだ、こういうの。今校舎内じゃ、お前に気づいて騒ぎになってる。教育委員会との申しあわせもあるし…」
私の正面で両肩に手を当てながら、先生は慌てた口調だった
「悪いが、今日は帰れ。しばらくは我慢して、こっちからの連絡待ってろ。な、横田…」
「はい。すいません。すぐ帰ります。先生、私どうしても学校の空気吸いたくて…、それで私…」
「いいんだ。お前の気持ちは分かってる。学校もな、いろいろ対応しててな…。まだはっきりしないが、何とか早くな…、だから…」
私は涙を流しながら、無言で頭を下げた
そして、学校を背にして走った
背中にはみんなの声、まだ届いてるのに
...
校門を前にして、みんなのところには近づけない…
それって、こんなに寂しいことなのか
つらい、これ、本当につらい
現実とは、こういうことなんだろうと、思い知らされた
でも…、”この時”の涙はすぐ止まった
...
今日はもう、帰ろう、家に…
”通い”なれた、最寄りのバス停に着くと、待ってる人は誰もいなかった
ここでも一人ぼっちだ…
もう私は、マイナスモードにズッポリだった
バスが来るまでは約20分あった
5分ほどすると、バスを待つ私の前に、1台の車が止まった
「よう!おけい、戻ってたのか、アンタ」
助手席の窓から、そう声をかけてきたのは久美だった…
ケイコ
陸上部の顧問で担任でもある志田先生は、私の前で立止まった
「横田…、ちょっと、こっち来てくれるか」
先生はそう言って、校門の塀の陰まで私の手を引いた
「ああ、先生…、あの私…」
「うん、横田、久しぶりだな。あのな、まずいんだ、こういうの。今校舎内じゃ、お前に気づいて騒ぎになってる。教育委員会との申しあわせもあるし…」
私の正面で両肩に手を当てながら、先生は慌てた口調だった
「悪いが、今日は帰れ。しばらくは我慢して、こっちからの連絡待ってろ。な、横田…」
「はい。すいません。すぐ帰ります。先生、私どうしても学校の空気吸いたくて…、それで私…」
「いいんだ。お前の気持ちは分かってる。学校もな、いろいろ対応しててな…。まだはっきりしないが、何とか早くな…、だから…」
私は涙を流しながら、無言で頭を下げた
そして、学校を背にして走った
背中にはみんなの声、まだ届いてるのに
...
校門を前にして、みんなのところには近づけない…
それって、こんなに寂しいことなのか
つらい、これ、本当につらい
現実とは、こういうことなんだろうと、思い知らされた
でも…、”この時”の涙はすぐ止まった
...
今日はもう、帰ろう、家に…
”通い”なれた、最寄りのバス停に着くと、待ってる人は誰もいなかった
ここでも一人ぼっちだ…
もう私は、マイナスモードにズッポリだった
バスが来るまでは約20分あった
5分ほどすると、バスを待つ私の前に、1台の車が止まった
「よう!おけい、戻ってたのか、アンタ」
助手席の窓から、そう声をかけてきたのは久美だった…



