ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

オリジナル原稿版/相馬豹一葬儀シーン~麻衣とケイコの対峙とその真実/その10
剣崎



言うまでもなく、この二人の当面の去就と、ヤツらが生み出すこれからの局面…

そのキーワードが、会長の置き土産であるあのクスリになる

これこそが、相馬会長を失った我々が新体制を作り上げていく際に、ダイレクトに影響を及ぼすんだ

だが、このことを知り得ているのは、俺の他には矢島さんと明石田の叔父貴くらいだ

しかも、ご両人とも、本当のところのリアリティまでは有してもらっていないと思う

他方、建田さん側の幹部クラスでは、俺の前に本家付きを務めていた小日向が何となく察している程度か…

北原なんぞに至っては、相和会の稼ぎ頭だって自負でのぼせ上ってて、会長が取り込んだ遠縁の娘など眼中にも入っていないだろうよ(笑)

建田さんにしても、実際、北原とさほど変わらないんじゃないのか…

...


フン、こっちからすれば、そここそがつけ目になる

だからこそ、俺が二人を”最後”まで誘導しないと…

あの子たちの為、これからの相和会の為に…

ふう…、要は”この仕事”、俺にしかできないってことになるのか

結局のところは…

会長だって、死期間近かを悟った”あの時”になって、”そのつもり”で俺だけに伝えた訳だろうしな

そりゃそうさ…、俺は本家付きという立場で、二人のその後の過程も間近でほとんど”当事者”として、一部始終に携わってきたんだし…

逆に会長からすれば、意図的に俺にその立場を担わせたことは間違いないだろう

そう言った意味では責任は重大だ

...


さあ、早速だ…

今の二人をこの眼でだ

噛み砕くくらいまでにだ

そうすれば、きっと、何かが見えてくるはずなんだ!