終われない夏の日/その23
ケイコ
その後の多美との話題は、麻衣の話に及んだ
どうも情報が錯綜して、はっきりしないようで…
病院にいるようだが、廃人状態説とか、すごいことになってるわ
まあ、そこまでは飛躍しすぎだし、ヤツのことはもうどうでもいい
...
多美はやはり、私のさっきの告白、ショックだったようだ
それでも、言ってくれたよ、多美は…
「お前と出会って、考え方変わったんだ、私…」
多美が言うには、目線だという
「おけいのそれ、とても真似できない。でも、”あの時”、お前と正面向き合って、テツヤもいてさ。なんか入ってきちゃったんだよ、お前らの思いとかさ。あれなかったら、今の立場では、もっと強圧的になってただろうよ」
私は多美の柔軟性を高く買ってる
あの日、コテコテの荒子信者だったこいつが、テツヤの話し、真剣に耳傾けてたよ
「多美、さっきの私の告白、受け止めてくれてありがとうな。あんただから言えたんだ。私も、キツイんだよ、正直さ」
多美はまた腕組みして、でも、顔をほころばせて言った
「できる限りはお前側だ。でも、ゴメンって局面はあるからな、私だってさ。分かってくれ、その辺は。ああはっきりとだと、腰引けるぞ、誰でも。親とかには言ってないんだろう?まさか」
「うん。言えないわ、さすがに…」
「それでいいと思うよ。お前の性格じゃ、後ろめたいかもしれないけど、バカ正直も時と場合だとも思うんだ。やたらには言うべきことじゃないから、聞き流してほしんだけど」
「ああ、心する。お前の正面からの意見、感謝してるよ。ホントはもっと言わなきゃいけないこと、あるんだ。だけど、いろいろ複雑な事情とかあってさ…」
実際、これ言えないわ、”偽証”だなんて…
「わかってる。でさあ、おけい、恋してるだろう。そんなとこもウソつけないんだな、お前。今日はこれ以上、突っ込まないから安心しろ。ハハ…、祥子もよろしくって言ってた。落ち着いたら、今度は3人で会おうな」
多美にアキラを紹介する時、私、どこまで話せるかな
ふと、そんなことが頭に浮かんだ
こいつは今の私にとって、最高の理解者だ
でも…、やっぱり、どこか距離感はできたようだ
当たり前なんだけどね…
私のこの状況で、それすら全く無しなら、一心同体になっちゃう
多美にそんなとこまで望む方が、非現実的だ
...
その足で、私はアキラの住んでるアパートに向かった
”宝物の地図”を手にした私は、気持ちを抑えきれなかった
まだ、アキラは戻ってきてないだろうけど、それは承知だ
とにかくは、アキラの住んでるとこ、この目で確かめたい
とりあえず、それだけの思いで、アキラの部屋の前に立った
2階建ての1階にある部屋の玄関ポストには、郵便物が溢れていた
集合ポストのない古い建物なので、チラシとかもココに投げ込まれてたし
一目で公共料金なんかの支払督促状と分かるものとかが、重なってる
ああ…、私のせいで生活も大変なんだなと、自然に考えが及んだ
その紙の束の中で、今にも通路に落ちそうな白い封筒が目に入った
私は、それを少し中に押しこもうとして、封筒の端を掴んだ
そのはずみで、差出人の文字が見えた
目を伏せようと思えばできた、間違いなく
それでも”その人”を、私は確かめた
”天理赤子”、白い封筒の送り主は、”あの”女性だった
...
ギターの”先生”は、”今回”のこと、どこまで知ってるんだろう…
いずれにしても、アキラはこの女性の後押しで、プロの道を目指した
それなのに、私はそのプロの道を、閉ざす存在になっちゃった
”それ”、考えると、胸がはちきれそうだよ
今さら、自己非難しても始まらない…
でも、この手紙の山を眼のあたりにして、剣崎さんの言うとおりだと結論付けた
やっぱり、帰ってすぐアキラの元に飛び込むのは、浅はかだよな
剣崎さんが言ってたように、アキラには気持ちの整理をしてもらいたい
それを終えた後、会った方がいい
そのくらい我慢だ、もう少しだし…
ケイコ
その後の多美との話題は、麻衣の話に及んだ
どうも情報が錯綜して、はっきりしないようで…
病院にいるようだが、廃人状態説とか、すごいことになってるわ
まあ、そこまでは飛躍しすぎだし、ヤツのことはもうどうでもいい
...
多美はやはり、私のさっきの告白、ショックだったようだ
それでも、言ってくれたよ、多美は…
「お前と出会って、考え方変わったんだ、私…」
多美が言うには、目線だという
「おけいのそれ、とても真似できない。でも、”あの時”、お前と正面向き合って、テツヤもいてさ。なんか入ってきちゃったんだよ、お前らの思いとかさ。あれなかったら、今の立場では、もっと強圧的になってただろうよ」
私は多美の柔軟性を高く買ってる
あの日、コテコテの荒子信者だったこいつが、テツヤの話し、真剣に耳傾けてたよ
「多美、さっきの私の告白、受け止めてくれてありがとうな。あんただから言えたんだ。私も、キツイんだよ、正直さ」
多美はまた腕組みして、でも、顔をほころばせて言った
「できる限りはお前側だ。でも、ゴメンって局面はあるからな、私だってさ。分かってくれ、その辺は。ああはっきりとだと、腰引けるぞ、誰でも。親とかには言ってないんだろう?まさか」
「うん。言えないわ、さすがに…」
「それでいいと思うよ。お前の性格じゃ、後ろめたいかもしれないけど、バカ正直も時と場合だとも思うんだ。やたらには言うべきことじゃないから、聞き流してほしんだけど」
「ああ、心する。お前の正面からの意見、感謝してるよ。ホントはもっと言わなきゃいけないこと、あるんだ。だけど、いろいろ複雑な事情とかあってさ…」
実際、これ言えないわ、”偽証”だなんて…
「わかってる。でさあ、おけい、恋してるだろう。そんなとこもウソつけないんだな、お前。今日はこれ以上、突っ込まないから安心しろ。ハハ…、祥子もよろしくって言ってた。落ち着いたら、今度は3人で会おうな」
多美にアキラを紹介する時、私、どこまで話せるかな
ふと、そんなことが頭に浮かんだ
こいつは今の私にとって、最高の理解者だ
でも…、やっぱり、どこか距離感はできたようだ
当たり前なんだけどね…
私のこの状況で、それすら全く無しなら、一心同体になっちゃう
多美にそんなとこまで望む方が、非現実的だ
...
その足で、私はアキラの住んでるアパートに向かった
”宝物の地図”を手にした私は、気持ちを抑えきれなかった
まだ、アキラは戻ってきてないだろうけど、それは承知だ
とにかくは、アキラの住んでるとこ、この目で確かめたい
とりあえず、それだけの思いで、アキラの部屋の前に立った
2階建ての1階にある部屋の玄関ポストには、郵便物が溢れていた
集合ポストのない古い建物なので、チラシとかもココに投げ込まれてたし
一目で公共料金なんかの支払督促状と分かるものとかが、重なってる
ああ…、私のせいで生活も大変なんだなと、自然に考えが及んだ
その紙の束の中で、今にも通路に落ちそうな白い封筒が目に入った
私は、それを少し中に押しこもうとして、封筒の端を掴んだ
そのはずみで、差出人の文字が見えた
目を伏せようと思えばできた、間違いなく
それでも”その人”を、私は確かめた
”天理赤子”、白い封筒の送り主は、”あの”女性だった
...
ギターの”先生”は、”今回”のこと、どこまで知ってるんだろう…
いずれにしても、アキラはこの女性の後押しで、プロの道を目指した
それなのに、私はそのプロの道を、閉ざす存在になっちゃった
”それ”、考えると、胸がはちきれそうだよ
今さら、自己非難しても始まらない…
でも、この手紙の山を眼のあたりにして、剣崎さんの言うとおりだと結論付けた
やっぱり、帰ってすぐアキラの元に飛び込むのは、浅はかだよな
剣崎さんが言ってたように、アキラには気持ちの整理をしてもらいたい
それを終えた後、会った方がいい
そのくらい我慢だ、もう少しだし…



