終われない夏の日/その22
ケイコ
多美はこっちを向いて、おもむろに話し始めた
「実は、つい先週なんだけど、”走り”の方、割れたよ。久美が離脱した。メンバー2人抜いてった。いずれも新入の迷いっこだ。かわいそうなコトさせたわ。ヤツについてく奴、いないしな、他は」
「そうか…、久美がなあ。やっぱり、祥子との確執かな」
「そうだな。だけど、タチ悪いわ、あいつ…。”新南玉連合”掲げて、成りも”まんま”でさ。紅組から目、つけられてた東京もん3人加えて、6人でぶんぶんだ。道中で、轟音たててよ、全く…」
なるほど…、昨日、駅で暴走してた6台は久美の一派だったってことか…
いくらなんでも、多美と祥子に継いですぐ、”あれ”はないと思ってたけど…
「どうやら、久美は、相和会の”正式”とくっついてるみたいでさ、本格的に構える様子だよ。そんで、アンタら二人とそれで肩並べたとか、言いふらしてるらしいわ、あのアホ」
「そうか、祥子に後釜とられたの、よっぽどだったのかな、久美…」
「フン、あんな野郎、祥子と張り合える器かよ。ヤツの男、テメエを犯そうとした男ってことらしいぜ、”例”の事件の時にさ。ヘドが出るってもんだ。馬美がさあ、沈黙破って、走りの連中に怒り狂って、ぶちまけてるらしいわ」
馬美は、麻衣の取り巻き3人組の一人で、1年前、”ある理由”によって麻衣に粛清された、レッド・ドッグス創立メンバーだった
「そうなのか…。まあ、とにかく、私と麻衣が抜けた責任だよな。まったく、申し訳ないよ」
「いや、結局、アンタら二人の存在が大きすぎて、ウチらが力不足ってことだったんだ。申し訳ないのはこっちだよ」
私が抜けた後、麻衣までが、すんなり離脱をするとは正直、思いもよらなかった
...
「しかし、アンタと麻衣の緊張関係はまるで、米ソの冷戦構造みたいだったな、ある意味さ…。その傘のおかげで、一応、安定が保たれたんだよな。ええと、抑止力ってやつかな。二人がいなくなって、痛感したよ。一気にタガが崩れたわ。面目ないよ」
久美は、例の腕組みポーズで、やや下を向きながら語った
「それでさ、祥子と話してさ、この際、まとまろうってことになった。やっぱり、”二頭”で成り立ったのは、お前と麻衣がいてこそだったんだ。ウチらじゃ所詮無理ってことでさ、悪い、これ、OG,OB連も承知で、決定になった。アンタには事後報告だ」
「うん、私は口出す立場じゃないさ、今のザマじゃさ。それに、ベターな選択だよ、やっぱり、ここにくりゃ。久美がその気なら、構えは必要だし、まとまらないとな」
「うん。久美のヤツ、数集め、えげつなくてさ。そういうとこはマメだろ、昔から。なんかよ、岩本さんとかとも連携できてるらしいわ。まあ、もともとは愚連隊の囲い系だし、変な話、お似合いだよやつら」
岩本さんか…、全く類は友を何とやらだな…
いい加減、タメ息出るわ、あの人たちには…
...
「…、あいつ、今じゃ南玉のこと、ボロクソふれ回っててさ。こともあろうに、おけいと麻衣をヤク中扱いしてよ、あそこまで頭空っぽとは思わなかったよ。道で会ったら血の雨だって、主だったメンバーはカッカしててさ、私もだけどよ」
多美はさすがにトップの責任からか、久美に対し怒りが収まらないようだわ
「第一、麻衣はともかく、おけいはクスリとか、言ってみりゃ犠牲者じゃん。みんな、それこそ、冤罪だって一般在校も口揃えてんだぜ。それを、久美のヤツ、不潔極まる股の下さげて、よくもおけいのこと、罵れるわ、ふざけやがって」
”冤罪”…、ここまでみんなが思っているなら、ここは言おう、本当のことを…
「あのさ…、多美、お前にははっきり言うよ。クスリ、誰かに無理矢理じゃない、自分の意思だ。自覚もしてた。たまたま、つい最近まで非合法薬物じゃなかったってことと、出頭した時期の関係で薬物反応でなかった。それで罪に問われなかった。これが事実なんだ、多美…」
思い切って言った、”ほぼ”事実を
自分でも衝撃発言だったと思う
多美もちょっと、面食らった表情してるし…
「…、ああ、分かってる。難しいことは大人が判断だ。とにかく、おけいは無罪で戻ってきたんだし…。あのさ…、今の話、他には言わない方がいいぞ。私も聞かなかったことにする。…、まあ、私らはこのままの関係でやろうや、なっ…」
多美はさりげなくそう言ってくれたが、何気に目元がよそよそしかったのを、私は悟った
やっぱり、そんなもんだよ、”これ”聞いたら、誰だって…
ケイコ
多美はこっちを向いて、おもむろに話し始めた
「実は、つい先週なんだけど、”走り”の方、割れたよ。久美が離脱した。メンバー2人抜いてった。いずれも新入の迷いっこだ。かわいそうなコトさせたわ。ヤツについてく奴、いないしな、他は」
「そうか…、久美がなあ。やっぱり、祥子との確執かな」
「そうだな。だけど、タチ悪いわ、あいつ…。”新南玉連合”掲げて、成りも”まんま”でさ。紅組から目、つけられてた東京もん3人加えて、6人でぶんぶんだ。道中で、轟音たててよ、全く…」
なるほど…、昨日、駅で暴走してた6台は久美の一派だったってことか…
いくらなんでも、多美と祥子に継いですぐ、”あれ”はないと思ってたけど…
「どうやら、久美は、相和会の”正式”とくっついてるみたいでさ、本格的に構える様子だよ。そんで、アンタら二人とそれで肩並べたとか、言いふらしてるらしいわ、あのアホ」
「そうか、祥子に後釜とられたの、よっぽどだったのかな、久美…」
「フン、あんな野郎、祥子と張り合える器かよ。ヤツの男、テメエを犯そうとした男ってことらしいぜ、”例”の事件の時にさ。ヘドが出るってもんだ。馬美がさあ、沈黙破って、走りの連中に怒り狂って、ぶちまけてるらしいわ」
馬美は、麻衣の取り巻き3人組の一人で、1年前、”ある理由”によって麻衣に粛清された、レッド・ドッグス創立メンバーだった
「そうなのか…。まあ、とにかく、私と麻衣が抜けた責任だよな。まったく、申し訳ないよ」
「いや、結局、アンタら二人の存在が大きすぎて、ウチらが力不足ってことだったんだ。申し訳ないのはこっちだよ」
私が抜けた後、麻衣までが、すんなり離脱をするとは正直、思いもよらなかった
...
「しかし、アンタと麻衣の緊張関係はまるで、米ソの冷戦構造みたいだったな、ある意味さ…。その傘のおかげで、一応、安定が保たれたんだよな。ええと、抑止力ってやつかな。二人がいなくなって、痛感したよ。一気にタガが崩れたわ。面目ないよ」
久美は、例の腕組みポーズで、やや下を向きながら語った
「それでさ、祥子と話してさ、この際、まとまろうってことになった。やっぱり、”二頭”で成り立ったのは、お前と麻衣がいてこそだったんだ。ウチらじゃ所詮無理ってことでさ、悪い、これ、OG,OB連も承知で、決定になった。アンタには事後報告だ」
「うん、私は口出す立場じゃないさ、今のザマじゃさ。それに、ベターな選択だよ、やっぱり、ここにくりゃ。久美がその気なら、構えは必要だし、まとまらないとな」
「うん。久美のヤツ、数集め、えげつなくてさ。そういうとこはマメだろ、昔から。なんかよ、岩本さんとかとも連携できてるらしいわ。まあ、もともとは愚連隊の囲い系だし、変な話、お似合いだよやつら」
岩本さんか…、全く類は友を何とやらだな…
いい加減、タメ息出るわ、あの人たちには…
...
「…、あいつ、今じゃ南玉のこと、ボロクソふれ回っててさ。こともあろうに、おけいと麻衣をヤク中扱いしてよ、あそこまで頭空っぽとは思わなかったよ。道で会ったら血の雨だって、主だったメンバーはカッカしててさ、私もだけどよ」
多美はさすがにトップの責任からか、久美に対し怒りが収まらないようだわ
「第一、麻衣はともかく、おけいはクスリとか、言ってみりゃ犠牲者じゃん。みんな、それこそ、冤罪だって一般在校も口揃えてんだぜ。それを、久美のヤツ、不潔極まる股の下さげて、よくもおけいのこと、罵れるわ、ふざけやがって」
”冤罪”…、ここまでみんなが思っているなら、ここは言おう、本当のことを…
「あのさ…、多美、お前にははっきり言うよ。クスリ、誰かに無理矢理じゃない、自分の意思だ。自覚もしてた。たまたま、つい最近まで非合法薬物じゃなかったってことと、出頭した時期の関係で薬物反応でなかった。それで罪に問われなかった。これが事実なんだ、多美…」
思い切って言った、”ほぼ”事実を
自分でも衝撃発言だったと思う
多美もちょっと、面食らった表情してるし…
「…、ああ、分かってる。難しいことは大人が判断だ。とにかく、おけいは無罪で戻ってきたんだし…。あのさ…、今の話、他には言わない方がいいぞ。私も聞かなかったことにする。…、まあ、私らはこのままの関係でやろうや、なっ…」
多美はさりげなくそう言ってくれたが、何気に目元がよそよそしかったのを、私は悟った
やっぱり、そんなもんだよ、”これ”聞いたら、誰だって…



