ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

終われない夏の日/その19
ケイコ



”ワンワン…”、ジョンの鳴き声だ

どうやら、美咲が帰って来たようだ…

出窓から確認すると、たしかに美咲とジョンが庭に入ってきた

私は速攻で階段降りて、庭に出た

「美咲ー、お帰り。ああジョン、よしよし…」

「あ、お姉ちゃん、帰ってたんだ。あのさ…」

「美咲、部屋来いよ。ジョン、もういいんだろ」

私は、美咲の腕を引っ張って玄関に入った

「お母さん、ただいまー。2階行ってるね」

「美咲ー、うがいくらいしなさいよ!変な風邪、流行ってんだから!」

美咲とお母さんを会わせちゃダメだ、今は…

美咲を連れ、二人は私の部屋へ”直行”した

部屋のドアを閉めてから、私と美咲はベッドに腰掛けた

さあ、早速聞かなきゃ、いろいろと…


...



「美咲、ありがとうな、色紙。はは…、それで、美咲はあの色紙、もう見たのか?」

「ううん。やっぱり、勝手には見れないし。お姉ちゃんに渡す前はさ」

この一言に、まずはホッとした

ということは、お母さんの目にも触れてないという事だし

「そうか、ありがとう。いやあ、みんな、優しすぎて参ったよ。だから照れくさくってさ、見せられないよ。ははは…」

「うん。薫さんと絵美さん、くれぐれもよろしくって。心配してたよ、”二人”のこと」

えっ?”二人”って…

いきなり、心臓がばくっときた

「あ、あ、美咲…、二人って言ってた?それってさ…」

「ああ、お姉ちゃんの彼氏…、ええと、ああ、アキラさんって言ったっけ。海で出会った人でしょ?ミュージシャンなんでしょ?ええと、23歳だっけ?それと…」

この時点で、私は顔が引きつってたと思う

「あ、あのさ…、お母さんには、その音楽家の人のこと、もう言ったか?美咲…」

「音楽家…?ああ、海で会った人…。ううん、今日、夕食ん時でもお母さんに話そうと思ってたところ。だって、明るい話じゃん、お姉ちゃんがこんな時でもさ…、彼氏さあ…」

「あの、美咲、美咲…。ホント、アンタはいい妹だ。だから、悪い、お姉ちゃんの頼み聞いてくれ。当分、彼のこと、お母さん、いや、誰にも言わないでくれ」

私は美咲の両肩を抑え、結構、大きな声で懇願した

「え?それって…、なんかあるの?」

「…、あのさ、その彼氏って、お母さんからすると、今まずいんだ。紹介できる状況じゃないんだよ。色々、あってさ。だからさ…」

咄嗟だったが、何とかさりげなく話せたかな…


...



「ああ、そういうことか…。わかった、GOが出るまで誰にも言わないよ。お姉ちゃんと一緒で、口は堅いしさ。こう見えても」

「美咲ー、ありがとう!お前、大人になったなー」

私は思わず、美咲の両手を握りしめちゃった

ちょうど、話が一段落したとこで、お母さんの声がした

「コロッケ揚がったからー!二人とも、降りてきなさい!早く食べましょ、熱いうちに!」

気が付くと、私はもう、汗びっしょりだった


...



意外に大人だった美咲…

結局、私の”諸事情”を、どの程度察したのだろうか…