終われない夏の日/その17
ケイコ
その日、家に着いたのは夕方6時過ぎだった
あのあと、逆髪神社に寄って願をかけてきた
前回は絵美と一緒で、アキラへお守りを買った
大阪うまくいきますようにって…
うまく行かなかったけど
まあ、今度は頼むよって感じで手を合わせてたかな…、今日は
…
「お母さん、ただいま」
台所ではお母さんが夕食の支度をしていた
「ああ、お帰り。今日はコロッケ揚げるからね。あなた、好物だものね」
「ありがとう。あの、どうだった?学校の方…」
お母さんは手を止めて、私の方に向き直ってから話し始めた
「じゃあ、そこ、座んなさい」
4人がけの台所にあるテーブルに、二人は向き合って座った
「今日は、校長先生があいにく不在でね、教頭先生が会ってくれて。それに、担任の志田先生と松川先生、生活指導のね、3人とお話ししてきたわ」
お母さんの顔つきは、やはり厳しかった
「まずはしっかりと謝ってきたわよ。深々と頭下げて。本人からは改めて、お詫びさせますと言ってね。とにかく皆さんには、大変なご迷惑をおかけしたんだから。それから、本人も深く反省してますと。おかげさまで、昨日家に戻れました、と報告してね…」
「ごめんなさい、お母さん」
私の表情も自然と神妙になっていたようで、母は少し笑って話を続けた
「まあ、先生方もあなたのことは、本当によく思ってくれてるみたいでね。こっちが恐縮するくらいよ。それで、何とか処分の方も、可能な限り善処してくれそうよ。今回はPTAとかも、幸い、心情的らしくて。学校としても、教育委員会の理解を得やすい環境だって。有難いわね、本当に」
私もお母さんも、もうちょっとで泣き出しそうな雰囲気になった
...
「当面は不定期の停学で、退学処分は避ける方向で動いてくれるって。良かったわね、ケイコ。まだはっきりは分からないけど、まずはね」
「うん、私も本当に感謝してる。当分、みんなに会う度にお礼言わなくちゃいけないね」
「そうね、会う人みんなね、私も…」
母は穏やかに笑って立上り、再び流し台に向かった
「ああ、さっき美咲が帰ってね。薫ちゃんたちから受け取ったもの、机に置いといたらしいわ。色紙だって」
「えっ?じゃあ、図書館で会ったの、薫たちとだったのか…。あ、それで美咲は?」
「ジョンのお散歩。もうすぐ戻るでしょ。夕食、7時くらいには食べられるから」
「うん。色紙か…、さっそく見てくるか…」
「なんか、テツヤ君の寄せ書きもあるらしいわよ。あの子とあのままお付き合いしてたら…、ロクでもない男なんかに、巻き込まれなかったのよ。こんなことには。今からでもまた、テツヤ君の彼女にしてもらったらいいのに…」
お母さんの言うロクでもない男って、アキラのことになるのか、やっぱり…
ケイコ
その日、家に着いたのは夕方6時過ぎだった
あのあと、逆髪神社に寄って願をかけてきた
前回は絵美と一緒で、アキラへお守りを買った
大阪うまくいきますようにって…
うまく行かなかったけど
まあ、今度は頼むよって感じで手を合わせてたかな…、今日は
…
「お母さん、ただいま」
台所ではお母さんが夕食の支度をしていた
「ああ、お帰り。今日はコロッケ揚げるからね。あなた、好物だものね」
「ありがとう。あの、どうだった?学校の方…」
お母さんは手を止めて、私の方に向き直ってから話し始めた
「じゃあ、そこ、座んなさい」
4人がけの台所にあるテーブルに、二人は向き合って座った
「今日は、校長先生があいにく不在でね、教頭先生が会ってくれて。それに、担任の志田先生と松川先生、生活指導のね、3人とお話ししてきたわ」
お母さんの顔つきは、やはり厳しかった
「まずはしっかりと謝ってきたわよ。深々と頭下げて。本人からは改めて、お詫びさせますと言ってね。とにかく皆さんには、大変なご迷惑をおかけしたんだから。それから、本人も深く反省してますと。おかげさまで、昨日家に戻れました、と報告してね…」
「ごめんなさい、お母さん」
私の表情も自然と神妙になっていたようで、母は少し笑って話を続けた
「まあ、先生方もあなたのことは、本当によく思ってくれてるみたいでね。こっちが恐縮するくらいよ。それで、何とか処分の方も、可能な限り善処してくれそうよ。今回はPTAとかも、幸い、心情的らしくて。学校としても、教育委員会の理解を得やすい環境だって。有難いわね、本当に」
私もお母さんも、もうちょっとで泣き出しそうな雰囲気になった
...
「当面は不定期の停学で、退学処分は避ける方向で動いてくれるって。良かったわね、ケイコ。まだはっきりは分からないけど、まずはね」
「うん、私も本当に感謝してる。当分、みんなに会う度にお礼言わなくちゃいけないね」
「そうね、会う人みんなね、私も…」
母は穏やかに笑って立上り、再び流し台に向かった
「ああ、さっき美咲が帰ってね。薫ちゃんたちから受け取ったもの、机に置いといたらしいわ。色紙だって」
「えっ?じゃあ、図書館で会ったの、薫たちとだったのか…。あ、それで美咲は?」
「ジョンのお散歩。もうすぐ戻るでしょ。夕食、7時くらいには食べられるから」
「うん。色紙か…、さっそく見てくるか…」
「なんか、テツヤ君の寄せ書きもあるらしいわよ。あの子とあのままお付き合いしてたら…、ロクでもない男なんかに、巻き込まれなかったのよ。こんなことには。今からでもまた、テツヤ君の彼女にしてもらったらいいのに…」
お母さんの言うロクでもない男って、アキラのことになるのか、やっぱり…



