終われない夏の日/その15
ケイコ
淡いイエローの封筒の中身は、チラシが1枚だけだった
”日ごろのご愛顧を込めて、特別キャンペーンのご案内”
キャッチコピーはごくありふれた、DMのそれだ
さらに、サブキャッチで”この地区限定!日時限定のお得なご案内…!”とある
私は、その下の文章に目を通した
うん…、なるほどだった
まず、該当時間内に指定の”提携場所”に行き、そこからここに書かれている電話番号へ連絡する
電話がつながったら、こっちの会員コード4ケタを告げ、向こうからの連絡を待つ
10分以内に”提携場所”の公衆電話に私宛、折り返し電話がかかってくる
そして、”お得な情報”が聞けるという趣旨だった
...
私は、一読してすぐに”すべて”を理解した
”提携場所”はS駅西口の喫茶店「レオ」、会員コードは「4284」に間違いない
「レオ」は剣崎さんとの打合せで使っていた店で、「4284」は、この前まで相和会で借りててくれた、私の部屋の電話番号下4桁だ
今までもそうだったが、何かの折に使うシグナルを、私は承知していたから…
要は、剣崎さんと接触するための、ナビゲートということになる
私が出頭する前、車の中で剣崎さんと散々言い合いしたあの時も、それらしい伏線はこちらに投げかけてきたし…
で、指定時間は今日と明日の午後2時から3時までの間か…
なら、今日行くさ、まだ11時前だし十分間に合う
さて、”お得な情報”とやらは一体、何かな…
でも、やっぱり…
アキラ…、彼とようやく会える段取りが聞けるかも知れない
咄嗟に頭に浮かんだのは、これだった
...
レオに着いたのは、1時半過ぎ
既に昼のランチ時が終わり、いつも座る窓側の席が空いていた
2時ジャスト、店の公衆電話から指定の電話番号にダイヤルした
この番号、見なくてもわかるよ、いつも電話してたもん
剣崎さんの店、ヒールズの奥の部屋につながる電話番号だ
「はい、ヒールズです。どちら様でしょうか」
電話口の声は、感じの良い、若い男性だった
「あの、キャンペーンのチラシ届いたんで、”指定場所”から連絡してるんですけど。横田です」
「横田さんですね?恐れ入りますが、会員コードをお願いします」
「4284です」
「はい、ありがとうございます。10分以内に、この電話へこちらからかけ直します。しばらく、そちらで待っててもらいますか?」
「はい」
電話を切り、席に戻った私は”先方”からの連絡を待った
...
窓の外を眺めながら待ってる間、気分は明るかった
剣崎さんと話す前は、いつも気が重かったんだけど、今日は今までと違った
おそらく、少なからず期待感を持っていたんだろう…
そして、およそ5、6分して店の女性が、6分入り程度の店内に向かって声を発した
「お客様で横田様、いらっしゃいますか?」
「はい、私です!」
こう言いながら、私は早足でレジ横の女性店員の前に向かった
「横田様、お電話が入っておりますので、どうそ」
「あっ、ありがとうございます」
私は、店員さんがこの場から離れた後、受話器を握った
「もしもし…」
「ケイコか?」
「はい」
「剣崎だ。おかえり、ケイコ。体の方は大丈夫か?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「そうか。じゃあ、早速用件だ。間もなく彼、戻れそうだ」
いきなりだった
アキラが戻ってくる…‼︎
ケイコ
淡いイエローの封筒の中身は、チラシが1枚だけだった
”日ごろのご愛顧を込めて、特別キャンペーンのご案内”
キャッチコピーはごくありふれた、DMのそれだ
さらに、サブキャッチで”この地区限定!日時限定のお得なご案内…!”とある
私は、その下の文章に目を通した
うん…、なるほどだった
まず、該当時間内に指定の”提携場所”に行き、そこからここに書かれている電話番号へ連絡する
電話がつながったら、こっちの会員コード4ケタを告げ、向こうからの連絡を待つ
10分以内に”提携場所”の公衆電話に私宛、折り返し電話がかかってくる
そして、”お得な情報”が聞けるという趣旨だった
...
私は、一読してすぐに”すべて”を理解した
”提携場所”はS駅西口の喫茶店「レオ」、会員コードは「4284」に間違いない
「レオ」は剣崎さんとの打合せで使っていた店で、「4284」は、この前まで相和会で借りててくれた、私の部屋の電話番号下4桁だ
今までもそうだったが、何かの折に使うシグナルを、私は承知していたから…
要は、剣崎さんと接触するための、ナビゲートということになる
私が出頭する前、車の中で剣崎さんと散々言い合いしたあの時も、それらしい伏線はこちらに投げかけてきたし…
で、指定時間は今日と明日の午後2時から3時までの間か…
なら、今日行くさ、まだ11時前だし十分間に合う
さて、”お得な情報”とやらは一体、何かな…
でも、やっぱり…
アキラ…、彼とようやく会える段取りが聞けるかも知れない
咄嗟に頭に浮かんだのは、これだった
...
レオに着いたのは、1時半過ぎ
既に昼のランチ時が終わり、いつも座る窓側の席が空いていた
2時ジャスト、店の公衆電話から指定の電話番号にダイヤルした
この番号、見なくてもわかるよ、いつも電話してたもん
剣崎さんの店、ヒールズの奥の部屋につながる電話番号だ
「はい、ヒールズです。どちら様でしょうか」
電話口の声は、感じの良い、若い男性だった
「あの、キャンペーンのチラシ届いたんで、”指定場所”から連絡してるんですけど。横田です」
「横田さんですね?恐れ入りますが、会員コードをお願いします」
「4284です」
「はい、ありがとうございます。10分以内に、この電話へこちらからかけ直します。しばらく、そちらで待っててもらいますか?」
「はい」
電話を切り、席に戻った私は”先方”からの連絡を待った
...
窓の外を眺めながら待ってる間、気分は明るかった
剣崎さんと話す前は、いつも気が重かったんだけど、今日は今までと違った
おそらく、少なからず期待感を持っていたんだろう…
そして、およそ5、6分して店の女性が、6分入り程度の店内に向かって声を発した
「お客様で横田様、いらっしゃいますか?」
「はい、私です!」
こう言いながら、私は早足でレジ横の女性店員の前に向かった
「横田様、お電話が入っておりますので、どうそ」
「あっ、ありがとうございます」
私は、店員さんがこの場から離れた後、受話器を握った
「もしもし…」
「ケイコか?」
「はい」
「剣崎だ。おかえり、ケイコ。体の方は大丈夫か?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「そうか。じゃあ、早速用件だ。間もなく彼、戻れそうだ」
いきなりだった
アキラが戻ってくる…‼︎



