ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

オリジナル原稿版/相馬豹一葬儀シーン~麻衣とケイコの対峙とその真実/その9
剣崎



高校の制服姿のケイコは、今日この場においても、文字通りその辺のどこにでもいるフツーの女子高校生だった

俺の持ち場であるここからは、参列者が焼香する様子がすっぽりと視界に収まっている

親族席で殊勝な顔つきの麻衣もよく見えるしな(苦笑)

列に付くケイコは小さい歩幅で、ゆっくりと前に進んで行ってる

あと3人終われば焼香だな

麻衣とはそろそろ目線の合う位置に入るぞ

二人の今のシュチエーションだ…

これをこの眼でしっかりと映しこむ!

同じ遠縁の囲い娘で同条件としたこの二人に、ココではこういった立場の違いを醸す指示を出したのは、他ならぬ相馬さんなんだ

あの人は絶対に、このことでいくつか展開の思惑を画していたはずだ

何なんだ、それは…!

...


後ろから見るケイコの焼香姿は淡々としていた

いよいよ親族席の麻衣に向かって挨拶をするぞ

ついに麻衣とケイコが視線を合わせたか…

同時に無言で、まずはケイコが頭を下げた

それを見届けてから、麻衣もゆっくりと頭を下げたな

ほんの1秒か2秒で頭を上げた二人は、今度はじっと視線を交わし合った

これも2、3秒ってところか…

会釈程のものはないようだが、この俺には、互いの心を通じて何かを交わし合ってるように映った

...


そうなんだ…!

二人は”このあと”、おそらく袂を分かつことになる

そのことは互いに承知してるだろうしな

ケイコは既に、生前会長と交わした約束通り、クスリを抜く決心に至っている

場合によっては、南玉連合だって脱退するかもしれない

一方の麻衣は、すぐにはクスリをやめないだろう

このまま続かないことは、麻衣も当然承知してるはずだが、ヤツはまた何かを見つける気でいるように思える

漠然とでも…

その麻衣がこれからのケイコをどう捉えるか

そして、どんなリアクションを起こすか…

ここがカギだ