ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

終われない夏の日/その12
追川



俺はエンジンをかけ、警察の前で人を乗せたタクシーが出るのを待った

よし、あの子に間違いない

付添はおそらく母親だろう

なら、後ろをつければ、自宅がわかる

さほど交通量のない二車線の道路を、タクシーは結構飛ばしている

絶対に見失わないようにしないと…

俺は、多少のきわどい信号の切り替わりなど、強引に通過した

20分ほど走ったところで、東京埼玉の都県境に接する、のどかな一画にタクシーは止まった

そうやら、二人はまっすぐ自宅に戻ったようだ


...


まあ、見た目では普通の高校生だなあ

母親もしっかりしてそうな感じだし

二人が家に入った後、俺は車から降り、この家の様子を伺った

犬がいるな…、柴犬のようだ

チャイムは門を通って玄関ドア脇か

ピンポンはインターフォンじゃないから、鳴らせばいきなり玄関開けて出てくる可能性は高い

洗濯物は、道路面から見える庭に干してるな

ベランダはないから、洗濯ものの出し入れは、外から見通せるか

その際に、道路から声をかけることはできそうだ

それと…、車があるが、母親はタクシーで娘を迎えに行った…

ということは、旦那が乗ってる車で、母親は運転しないのかな…

自転車は今1台ある…

なんとなく子供が乗る自転車のようだ

母親がコレ、乗らないとすれば、買い物とかの外出はバスとかか…

うーん、となれば、母親の在宅は外回りからじゃわからからねえかなあ…

やっぱり、外で張り付くしかねえか

とは言え、見通し効きすぎで、車で家の前からってのはちょっと無理あるか


...



今後の”カギ”は、ファーストコンタクトだな…

俺はこう確信した

いくらなんでも、高校生の女の子に取材となると、保護者同伴が望ましい

だが、今回の取材は親に理解を求めても、無理だ

まず取り合ってくれない

完全100%被害者の言い分なら別だが、本事案を公にすることは、娘を傷つけることになる

それに、いくら俺でも、ぶしつけで”この取材”の趣旨、母親に話せないわ

ストレートに言ったら、普通の母親ならその場で卒倒ものだ

当初のアプローチは本人単独、直接当たろう

そうなれば、彼女が外出した先がベターだな

とにかく、ここで張るしかないな

まだ暑さは厳しいが…