ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

オリジナル原稿版/相馬豹一葬儀シーン~麻衣とケイコの対峙とその真実/その8
剣崎



これから故相馬会長の後継体制を敷き、県警がリークしてくれた未来の法整備(暴対法改正)を踏まえ、しかるべく行先へのレールに乗っける作業は、”今のこの光景”を正確に捉えて進まなければならないんだ

この後はいわば、ほぼすべて同時進行、並行しての各行動となる

相馬会長は跡目は誰だとかは一切関知しない姿勢を貫いていたし、あの人は正直、”そこ”はどうでもいいってとこだったんだ

肝心なのは、あの人の意思によって残された、今の形、今の光景だよ

会長はダブルミーニングを付して置いて行った”カタチ”から、果たして残った俺たちがどんな相和会を作り、この先、世の中が大きく変わるこの日本でどのように歩んでいくのか…

相馬さんは、それをあの世からじっくり見物する気だった

あの人のこの世を去るに際してのスタンスは、若が存命で麻衣とケイコに出会わなかったとしても同じだっただろう

現時点の俺にはそう思えてならん

だが、現実には相馬さんの息子ではなく、今、あの人が残した光景の核となる人物は二人の女子高校生となった

しかも、あの怪しいクスリ付きで


...


ふふ…、要するに、相馬さんは確信犯だったってっことだ

やはり若ん時と一緒だって

ふう…、とにかくだ、この残された光景の真の捉え方を、俺は幸いにも、会長から遺言に相当するメッセージとして2週間前、病院で伝授されたんだ

ここから始まる2代目を巡る相和会内部の暗闘においても、会長個人が仕込んじまったクスリとセットで、二人の少女が重要な役割を演じずに収まらないだろうよ

コトの良し悪しや、実際、結果がどう出るかは別として…

そのことをよう、この俺は知っちまったんだ

だから、矢島さんが投げてきた今日の難題にも、今、焼香の場で面を交わしている麻衣とケイコを、相馬さんによって開眼したもうひとつの眼で見捉える!

そこで、見逃しちゃいけない”何か”を掴むんだ!