発熱の代償/その3
ケイコ
夜8時過ぎ、2階の部屋にいると、お母さんの声だ
「ケイコ、電話よー」
私は、電話の置いてある、1階の玄関に降りていった
「本田さんって、女の子からよ」
私は、お母さんから受話器を受け取った
「もしもし…、多美?お待たせ」
南玉連合で私の"後"をやってくれてる、本田多美代からだったが、おおよそ、要件はわかっている
「ああ、おけい、悪い。突然…」
「こっちこそ、この前の集会は行けなくてゴメン」
「いや、いいんだ。それでさ…。麻衣、警察沙汰らしいんだけど、そっちの耳にも入ってる?」
予想通り、麻衣の件だ
「うん、学校でも先輩とか何人かからね。まあ、みんな又聞きってところだったから、それ以上知らないけど…、本当だったのか…」
「新学期の前日に、ファミレスで暴れたらしい。それでさ、今は病院だってさ。なんか、クスリの症状じゃないのかとか、そんな噂も出てるよ」
「そうか…」
咄嗟に出たその言葉は、つぶやくような感じだった
遂に行動したんだ、例のシナリオに従って…
...
「一応、おけいには知らせておいた方がと思ってね」
「わざわざすまない」
「いや…、あのさ、おけいは大丈夫なのか?麻衣とあんたには、例のバックついてんの、周知のことだから…。みんな口には出さなかったけど、やっぱりさ…。2人がほぼ同時に外れたから。なんか、ここに来て状況も変わったみたいだったし」
どうやら、私の"これから"、みんなもある程度は想像ついてるのかな…
「多美、正直、あるよ。いろいろだよ。今は勘弁だけど、そっちにはなるべく迷惑かからないようにする」
「それはいいんだけど…。あ、すまない。家からじゃまずいよな、細かくは。こっちは家に誰もいないんだけど。とにかく、あんたに何があっても私らみんな、おけいの側だから」
「多美、嬉しいよ。そう言ってくれると」
「何か力になれることあれば、遠慮なく言ってくれな。"そん時"は…」
その後、私は「ありがとう」と言って、電話を切った
「電話、終わったの?ああ、お風呂沸いてるからね…、入っちゃいなさい」
お母さんは特段、会話の内容を気に留めてないようだった
...
リミもそうだけど、仲間って有難いな…
ここに来て、しみじみ思う
でも、心が苦しいよ、とても…
結局、私、みんなを裏切ってる事やってるんだし
いずれにせよ、もう間近かだ
数日中にも、剣崎さんが接触してくるはずだ
覚悟はできてるが、やっぱり怖いよ
時間と共に、どんどん不安になってくし
このこと考えると、心臓がドキドキして、汗が出てくる
アキラ…、アキラの方は今、どうなってるんだろう
せめて、一緒にいられればな…
これから大変なのは変わらなくても、どんなに気が休まるか
ケイコ
夜8時過ぎ、2階の部屋にいると、お母さんの声だ
「ケイコ、電話よー」
私は、電話の置いてある、1階の玄関に降りていった
「本田さんって、女の子からよ」
私は、お母さんから受話器を受け取った
「もしもし…、多美?お待たせ」
南玉連合で私の"後"をやってくれてる、本田多美代からだったが、おおよそ、要件はわかっている
「ああ、おけい、悪い。突然…」
「こっちこそ、この前の集会は行けなくてゴメン」
「いや、いいんだ。それでさ…。麻衣、警察沙汰らしいんだけど、そっちの耳にも入ってる?」
予想通り、麻衣の件だ
「うん、学校でも先輩とか何人かからね。まあ、みんな又聞きってところだったから、それ以上知らないけど…、本当だったのか…」
「新学期の前日に、ファミレスで暴れたらしい。それでさ、今は病院だってさ。なんか、クスリの症状じゃないのかとか、そんな噂も出てるよ」
「そうか…」
咄嗟に出たその言葉は、つぶやくような感じだった
遂に行動したんだ、例のシナリオに従って…
...
「一応、おけいには知らせておいた方がと思ってね」
「わざわざすまない」
「いや…、あのさ、おけいは大丈夫なのか?麻衣とあんたには、例のバックついてんの、周知のことだから…。みんな口には出さなかったけど、やっぱりさ…。2人がほぼ同時に外れたから。なんか、ここに来て状況も変わったみたいだったし」
どうやら、私の"これから"、みんなもある程度は想像ついてるのかな…
「多美、正直、あるよ。いろいろだよ。今は勘弁だけど、そっちにはなるべく迷惑かからないようにする」
「それはいいんだけど…。あ、すまない。家からじゃまずいよな、細かくは。こっちは家に誰もいないんだけど。とにかく、あんたに何があっても私らみんな、おけいの側だから」
「多美、嬉しいよ。そう言ってくれると」
「何か力になれることあれば、遠慮なく言ってくれな。"そん時"は…」
その後、私は「ありがとう」と言って、電話を切った
「電話、終わったの?ああ、お風呂沸いてるからね…、入っちゃいなさい」
お母さんは特段、会話の内容を気に留めてないようだった
...
リミもそうだけど、仲間って有難いな…
ここに来て、しみじみ思う
でも、心が苦しいよ、とても…
結局、私、みんなを裏切ってる事やってるんだし
いずれにせよ、もう間近かだ
数日中にも、剣崎さんが接触してくるはずだ
覚悟はできてるが、やっぱり怖いよ
時間と共に、どんどん不安になってくし
このこと考えると、心臓がドキドキして、汗が出てくる
アキラ…、アキラの方は今、どうなってるんだろう
せめて、一緒にいられればな…
これから大変なのは変わらなくても、どんなに気が休まるか



