ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

発熱の代償/その3
ケイコ



夜8時過ぎ、2階の部屋にいると、お母さんの声だ

「ケイコ、電話よー」

私は、電話の置いてある、1階の玄関に降りていった

「本田さんって、女の子からよ」

私は、お母さんから受話器を受け取った

「もしもし…、多美?お待たせ」

南玉連合で私の"後"をやってくれてる、本田多美代からだったが、おおよそ、要件はわかっている

「ああ、おけい、悪い。突然…」

「こっちこそ、この前の集会は行けなくてゴメン」

「いや、いいんだ。それでさ…。麻衣、警察沙汰らしいんだけど、そっちの耳にも入ってる?」

予想通り、麻衣の件だ

「うん、学校でも先輩とか何人かからね。まあ、みんな又聞きってところだったから、それ以上知らないけど…、本当だったのか…」

「新学期の前日に、ファミレスで暴れたらしい。それでさ、今は病院だってさ。なんか、クスリの症状じゃないのかとか、そんな噂も出てるよ」

「そうか…」

咄嗟に出たその言葉は、つぶやくような感じだった

遂に行動したんだ、例のシナリオに従って…


...



「一応、おけいには知らせておいた方がと思ってね」

「わざわざすまない」

「いや…、あのさ、おけいは大丈夫なのか?麻衣とあんたには、例のバックついてんの、周知のことだから…。みんな口には出さなかったけど、やっぱりさ…。2人がほぼ同時に外れたから。なんか、ここに来て状況も変わったみたいだったし」

どうやら、私の"これから"、みんなもある程度は想像ついてるのかな…

「多美、正直、あるよ。いろいろだよ。今は勘弁だけど、そっちにはなるべく迷惑かからないようにする」

「それはいいんだけど…。あ、すまない。家からじゃまずいよな、細かくは。こっちは家に誰もいないんだけど。とにかく、あんたに何があっても私らみんな、おけいの側だから」

「多美、嬉しいよ。そう言ってくれると」

「何か力になれることあれば、遠慮なく言ってくれな。"そん時"は…」

その後、私は「ありがとう」と言って、電話を切った

「電話、終わったの?ああ、お風呂沸いてるからね…、入っちゃいなさい」

お母さんは特段、会話の内容を気に留めてないようだった


...



リミもそうだけど、仲間って有難いな…

ここに来て、しみじみ思う

でも、心が苦しいよ、とても…

結局、私、みんなを裏切ってる事やってるんだし

いずれにせよ、もう間近かだ

数日中にも、剣崎さんが接触してくるはずだ

覚悟はできてるが、やっぱり怖いよ

時間と共に、どんどん不安になってくし

このこと考えると、心臓がドキドキして、汗が出てくる

アキラ…、アキラの方は今、どうなってるんだろう

せめて、一緒にいられればな…

これから大変なのは変わらなくても、どんなに気が休まるか