発熱の代償/その1
アキラ
警察からお呼びがかかったのは、”あれ”から数日後だった
いわゆる任意での聴取ということだった
その後の流れは、まさしく、あの”ペーパー”に沿っていった
どうやら、この”茶番劇”は、綿密なレールに敷かれた上でのようだ
オレたち”素人”にも、事前に打ち明けていただけのことがある
こっちの想像以上に、しっかり”出来上がっていた”という事なんだろう
...
淡々とした取り調べが進んで、麻衣とケイコちゃんの関連も黙認した
それって、オレが警察にウソをついていることになる
当然、心は痛んだ
苦渋の選択とはいえ、本当にこれで良かったのだろうか…
それは、同時にケイコちゃんにも、同じ思いをさせるということだし…
そう思うと、なんとも悲しい気持ちになった
...
だが、剣崎さんも言っていたけど、家宅捜索はほんの形式的なもので収まるようだ
オレのアパートを、ちょこちょこといった程度なのかな…
そもそも、麻衣たちの部屋って、借主は剣崎さん経由の名義だろう
それ、まずいんじゃないだろうかと、オレなんかでも思う訳なんだが
その辺りは今回の茶番で、すでに暗黙の何とやらみたいだ
この出来レースには、改めて驚かされるし、また呆れてしまう
こんなのありかよと…
”それ”に、当事者として関わってる自分って、一体なんなのかと
...
とにかく、やはり…、相和会は警察と特殊な関係だ
今回、実際に警察で聴取を受け、皮膚感覚で実感した
しかも、”それ”、県警というよりは、警察組織自体とじゃないのかなと…
それほど、大きな渦に俺たちが飲み込まれている…
背筋が寒くなるが、これは確信に近い
ましてや、麻衣やケイコちゃんは、高校生だ
偶然の重なりとはいえ、あまりに残酷な夏があったもんだ
...
オレが初めて会った時、ケイコちゃんに感じたのは、”大人”だった
それは妥協とかという、側面ではない
甘えちゃいけないっていう、揺るがない気構えだ
オレより7つも年が下なのに、何なんだ、この子はと…
なんとなくだけど、出会ってすぐ感じた
そして、マッドハウスで偶然、再会したあの日、決定的になった
だからその後、雨宿りの間に全部さらけ出せた、自分まるごとを
あの子のまっすぐな輝きは、常に太陽の直射日光そのものだ
雨の日だろうが、曇りの日だろうが、手を抜かない本物のピカピカさ、眩しさ…
そして、ケイコちゃんは、麻衣という危険で禍々しい磁力にも、真向だった
麻衣にさえ出会わなければ、あの子は今、この濁流の中にはいない
でも、こんな濁流の真っ只中でも、ケイコちゃんは必死にまっすぐだ
早く、今を”クリア”して会わなくちゃ、あの子に
あの子のまっすぐな一歩、その足音が途切れないうちに
アキラ
警察からお呼びがかかったのは、”あれ”から数日後だった
いわゆる任意での聴取ということだった
その後の流れは、まさしく、あの”ペーパー”に沿っていった
どうやら、この”茶番劇”は、綿密なレールに敷かれた上でのようだ
オレたち”素人”にも、事前に打ち明けていただけのことがある
こっちの想像以上に、しっかり”出来上がっていた”という事なんだろう
...
淡々とした取り調べが進んで、麻衣とケイコちゃんの関連も黙認した
それって、オレが警察にウソをついていることになる
当然、心は痛んだ
苦渋の選択とはいえ、本当にこれで良かったのだろうか…
それは、同時にケイコちゃんにも、同じ思いをさせるということだし…
そう思うと、なんとも悲しい気持ちになった
...
だが、剣崎さんも言っていたけど、家宅捜索はほんの形式的なもので収まるようだ
オレのアパートを、ちょこちょこといった程度なのかな…
そもそも、麻衣たちの部屋って、借主は剣崎さん経由の名義だろう
それ、まずいんじゃないだろうかと、オレなんかでも思う訳なんだが
その辺りは今回の茶番で、すでに暗黙の何とやらみたいだ
この出来レースには、改めて驚かされるし、また呆れてしまう
こんなのありかよと…
”それ”に、当事者として関わってる自分って、一体なんなのかと
...
とにかく、やはり…、相和会は警察と特殊な関係だ
今回、実際に警察で聴取を受け、皮膚感覚で実感した
しかも、”それ”、県警というよりは、警察組織自体とじゃないのかなと…
それほど、大きな渦に俺たちが飲み込まれている…
背筋が寒くなるが、これは確信に近い
ましてや、麻衣やケイコちゃんは、高校生だ
偶然の重なりとはいえ、あまりに残酷な夏があったもんだ
...
オレが初めて会った時、ケイコちゃんに感じたのは、”大人”だった
それは妥協とかという、側面ではない
甘えちゃいけないっていう、揺るがない気構えだ
オレより7つも年が下なのに、何なんだ、この子はと…
なんとなくだけど、出会ってすぐ感じた
そして、マッドハウスで偶然、再会したあの日、決定的になった
だからその後、雨宿りの間に全部さらけ出せた、自分まるごとを
あの子のまっすぐな輝きは、常に太陽の直射日光そのものだ
雨の日だろうが、曇りの日だろうが、手を抜かない本物のピカピカさ、眩しさ…
そして、ケイコちゃんは、麻衣という危険で禍々しい磁力にも、真向だった
麻衣にさえ出会わなければ、あの子は今、この濁流の中にはいない
でも、こんな濁流の真っ只中でも、ケイコちゃんは必死にまっすぐだ
早く、今を”クリア”して会わなくちゃ、あの子に
あの子のまっすぐな一歩、その足音が途切れないうちに



