ヒートフルーツ【特別編集版第1部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

オリジナル原稿版/相馬豹一葬儀シーン~麻衣とケイコの対峙とその真実/その6
剣崎


相馬豹一という人が見据えていた、さらにその先の視界とは…

ガキ世界との接点を男どもではなく、なんと高校に上がったばかりの女子高校生を旗印とし、そこに相和会の息を吹き込んだ枠組をこしらえる…

俺はガキ勢力に従来から介在してきた星流会のバック、関東直系の有力組織である東龍会への対峙を意識してした備えと言うのが会長の”戦略”だろうと解釈していた

だが、なんと相馬会長は麻衣には更なる”その先”を期待し、見込んでいたんだ

それは、麻衣を”本気”にさせることのできる、真に猛る少女…

正直、会長が”それ”を望んでいることは承知していたさ

何しろ会長自身が、自ら口にしていたしな(苦笑)

...


でもそれって、あくまで”できることなら”という、いわば個人的な願望って範疇だと疑わなかったよ、俺は…

何と言っても、あの時点の麻衣は敵なしだった

”コイツに真っ向で対抗できる少女などいる訳ねーよ。いくら猛る女の聖地と言われるこの都県境でもな…”

はは…、まあ、そんな感覚だったわ

会長だって、麻衣の動きは逐次見届け、その力量には驚嘆していたんで、あの人も麻衣と本当の意味で張り合える相手など所詮、夢物語だろうとは思っていたはずだ

それでも麻衣が、真に自分を本気にさせる相手を希求し、あの夏行動していたことは、この俺にもその途中ではっきりとわかっていたし、当然会長もな…

なので、ウキウキした期待感は最後まで持っていたようだった

ふふ…、それで最後の決戦の舞台で、麻衣に挑んできた相手だったんだが…

...


去年夏のあの夜…、その舞台となった火の玉川原には俺も能勢を連れて現場に赴いていた

だが、実際はハナから麻衣の圧勝を信じて疑わず、ビール片手の見学気分だったよ

まあ、出てきた相手がどう見てもフツーの女子高生で、かえって麻衣に殺されはしないかと、そっちを心配しちまってた(苦笑)

ところが…‼

結果として、見た目フツーの、その女子高生は麻衣と壮絶な死闘を展開し、なんと判定勝ちに近いドローに持ち込んだんだ

その女の子こそ、横田競子だったって訳だ…