忘れられた恋の物語

彼女が目を丸くした。


「どうして私の名前を?」

「あ…。」


しまった。もうボロが出てしまった。


「飛田さんから聞いたことがあるんです。綺麗な彼女さんがいると。」

「…嘘つかなくて大丈夫ですよ。"綺麗"なんて優輝が言うわけない。でも私の話はしてたみたいですね。」


聞いていた通りはっきりとした性格の人だ。


「…はい。だから澪さんに会ってみたかったんです。すごくいい方なんだろうなと思って。」

「そうでしたか。それにしても小さい子と恋バナしてたなんて。そんなに友達いなかった?」


お墓に向かって、いたずらっぽく聞いた澪さんに飛田さんが答えた。


「知ってるくせに。俺は澪しか友達って呼べる人がいなかった。だからいつも俺に構ってきてたんだろ。俺が1人にならないように。」