「…すみません。びっくりしましたよね。でも死のうとなんてしないでほしい。」

「本当に死にませんよ。」


彼はまだ信じていないようだった。


「お願いだから生きて。」


特別な言葉は言われていないのに、なぜか涙が出そうになった。

会ったこともない人なのに泣きそうになるくらい、彼の表情が切実だった。


「…死にませんってば。本当に大丈夫です。もう帰りますね。」


今日はこれ以上ここにはいられないと思い、帰ろうとした私を彼が呼び止める。


「あ…待って!次の通院日はいつですか?」

「…何でそんなこと聞くんです?」


知らない人にそんなことを教える必要はない。


「いや、本当に申し訳ないんですけど…。何も聞かずに1度だけ教えてくれませんか?」


そんな頼み、怪しすぎて聞けない。

良い人かと思ったけれど、変な人だったようだ。早く逃げよう。