「でも死んだ人間の気持ちなんて知らない方がよかったと思うんです。たとえ忘れるとしても。」
「…そうでしょうか?」
飛田さんは足を組んで座り直した。こんな風に砕けた姿勢を取るのは初めて見た。いつも背筋をぴんと伸ばして立っているところしか見たことがなかったから。
「死んでも覚えていてくれるほど自分を好きでいてくれた人の気持ちが"知らない方がいい"なんてことないと思います。しかも、逢田さんとは両想いなんです。それにどうせ忘れてしまうなら、芦名さんが思い切り気持ちを表現してくれた方が残りの時間、幸せだとは思いませんか?」
そう俺に問いかけた飛田さんの声は、とても優しかった。
「飛田さんって…本当に素敵な人ですね。」
「…駄目ですね。こんなに利用者の方に感情移入してしまうのは良くないことだとわかっていたんですが。結局余計な話をしてしまいましたね。」
「…そうでしょうか?」
飛田さんは足を組んで座り直した。こんな風に砕けた姿勢を取るのは初めて見た。いつも背筋をぴんと伸ばして立っているところしか見たことがなかったから。
「死んでも覚えていてくれるほど自分を好きでいてくれた人の気持ちが"知らない方がいい"なんてことないと思います。しかも、逢田さんとは両想いなんです。それにどうせ忘れてしまうなら、芦名さんが思い切り気持ちを表現してくれた方が残りの時間、幸せだとは思いませんか?」
そう俺に問いかけた飛田さんの声は、とても優しかった。
「飛田さんって…本当に素敵な人ですね。」
「…駄目ですね。こんなに利用者の方に感情移入してしまうのは良くないことだとわかっていたんですが。結局余計な話をしてしまいましたね。」

