忘れられた恋の物語

「さっき柚茉は俺の事なんか"すぐに忘れる"って言っただろ?」

「あれは…!」

「忘れてほしい。すぐにいなくなるこんな奴の気持ちなんて。」


じっと見つめられて何も言えなくなった。

今の言葉が本心のようにも感じられる目だった。


「ほら。俺の方が自分勝手だろ。黙ってればいいのに結局告白した。」


自分を責めるような言い方だった。微かに笑う彼の表情が痛々しかった。


「…いなくなるとしても。好きな人から好きだって言ってもらえた私はすごく幸せ。」

「いや、言わないべきだった。」


後悔するような斗亜の言い方で、前から気になっていたことに確信を持った。