忘れられた恋の物語

「…何て言ったの？」

「今から斗亜に告白するね。」

「告白って…。」


緊張で無意識にぎゅっと拳を握った。


「好きだよ。」


少し声が震えてしまった。でもそんなことは気にならないくらい斗亜が驚いた顔をしていて思わず笑ってしまった。


「びっくりした？」

「うん…。」

「もう少しで斗亜がいなくなっちゃうから。その前に言いたかったの。」

「そっか…。」


短く私に返事をするだけで、後はずっと固まっていた彼が突然私から顔をそらした。


「ごめんね柚茉。俺は…。」


断られるのだとすぐにわかった。

だから私はすぐに斗亜に向かって笑いかけた。


「謝らないで。私が告白したことで斗亜が気まずい思いをするってわかってたの。でも言いたかった。」

「…ごめん。」


絞り出したような弱々しい彼の声に胸が痛んだ。私はまた彼につらい思いをさせている。