忘れられた恋の物語

「…ごめんね斗亜。本当にごめんね。」

「…俺も本当にごめんね。柚茉が死のうとしたって決めつけてた。」

「違うよ。斗亜は心配してくれただけ。もう柵は越えないから許して。」

「俺も。もうあの日のことは言わないから許してほしい。」


斗亜がすっと私の右手を取った。

私の心臓がトクンと音を立てる。


「じゃあお互いに許すことにしよう。」


そう言うと斗亜が優しく微笑んだ。


「ありがとう。」


すると斗亜は私の手を離して、突然私に背を向けてしゃがみこんだ。


「…何してるの?」

「メリーゴーランド、乗れなかったから。これで我慢して。」

「…え?何?」

「おんぶ。ほら乗って。」