無性に腹が立った。

斗亜の言葉に腹が立ったのか、彼がいなくなることに腹を立てているのか自分でもわからない。ただ"忘れない"という言葉に妙に苛立ちを覚えた。


「ねえ。そんなの友達に言うこと?もうやめてよ。」

「…怒ってる?」

「怒ってないように見える?」

「いや…。怒ってるように見える。」


私がなぜこんなにも怒っているのか、彼はわかっているのだろうか。


「…ごめん柚茉。」

「…もう帰る。」


勝手に怒って彼に当たってしまう自分が嫌で、私は斗亜に背を向ける。


「もう帰るの?もう少しだけいようよ。」


私を引き止めようとする斗亜の方を振り向いた。私も自分が悪いことはわかっている。謝らないと。


「ごめんね。怒って。でも今日は帰る。」

「謝らないで。じゃあ一緒に帰ろう。」


そう言って斗亜はゆっくりと私の前を歩き出した。

気持ちを落ち着かせるために1人で帰ろうと思っていたけれど無理そうだ。