忘れられた恋の物語

メリーゴーランドに乗り終えて、近くのベンチに座ると斗亜が私にペットボトルの水を差し出した。


「これ飲んで。」

「ありがとう…。買ってる暇なかったのに。持ってきたの?」

「うん。柚茉が飲むかなと思って。」 

「ありがとう。」

「メリーゴーランド楽しかった?」

「うん。もう1回乗りたいくらい。」

すると斗亜が頷いた。


「オッケー。じゃあもう1回乗ろう。」

「いいの?」

「もちろん。柚茉はやりたいことをして、笑って過ごして。何回でも付き合うから。」

「ふふっ。ありがとう。」


満足げにふぅーっと息を吐いた斗亜が言った。


「…夜のメリーゴーランドはもっと綺麗なんだよ。」

「夜?見たことあるの?」

「うん。1回だけね。」

「いいなあ。今度夜に一緒に来ようよ!」