忘れられた恋の物語

「何?」

「いや、何でもない。次はメリーゴーランドにする?」

「汽車が終わってないのにもう次の話?」

「もう終わるよ。ほら。」


斗亜が指差した方向に、もう最初の乗り場が見えてきていた。


「本当だ。じゃあそうしよう!」

「他に乗りたいのはないの?」

「なくはないけど…。」


私が乗ってみたいものは全部乗れないものばかりだ。

たまに聞こえてくるジェットコースターに乗っている人たちの悲鳴が羨ましく感じる。私もあんな風に叫びながら色んな乗り物に乗ってみたい。

答えずにいる私を見て何かを察したのか、斗亜は話題を変えた。


「お昼ごはんは何食べる?この中で食べるか、外に出て食べるか。好きな方選んで。」

「う~ん。どっちもいいけど…お腹空いたな。」

「じゃあとりあえず中で軽く何か食べる?その後決めようか?」

「うん。」