忘れられた恋の物語

キーホルダーを手に持って揺らして見せると、赤ちゃんがまた楽しそうに笑った。


「お二人はお友達ですか?それともデート?」

「いえ…デートでは…。」


否定しようとした斗亜を見た瞬間、少し反抗したくなった。


「はい!デートです!」


そう答えた私に、驚いた顔で斗亜がこっちを見た。目が合って不思議そうに私を見る斗亜にニコリと笑って見せる。


「そうでしたか。邪魔してすみませんでした。楽しんでくださいね。」

「ありがとうございます!」


赤ちゃんのお母さんと話し終えた私のことを、斗亜はまだ見つめていた。