"心残り"。その言葉が私の中に重く響いた。
斗亜がいなくなってしまうということをこの瞬間、忘れていた。
気付いたら彼が引っ越してしまうまで1週間と何日かしか残っていなかった。
悲しそうに微笑んだ斗亜は私から目をそらし、前を向いてしまった。重くなった空気に、私も斗亜から視線をはずし、黙って前を向いた。
すると1つ空けた前の席で、お母さんに抱っこされている赤ちゃんと目が合った。その子は私と目が合うと楽しそうに笑った。そして私の方へと少し手を伸ばした。
それに気が付いたお母さんが私に頭を下げた。
「すみません。」
「いえいえ!」
「多分そのぬいぐるみのキーホルダーが気になったんだと思います…。うちにあるぬいぐるみと似ていて…。すみません。」
そう言われて私は膝の上に乗せていたバッグに付いているうさぎのぬいぐるみのキーホルダーに目を落とした。
「ああ!これだったんですね!大丈夫ですよ!」
斗亜がいなくなってしまうということをこの瞬間、忘れていた。
気付いたら彼が引っ越してしまうまで1週間と何日かしか残っていなかった。
悲しそうに微笑んだ斗亜は私から目をそらし、前を向いてしまった。重くなった空気に、私も斗亜から視線をはずし、黙って前を向いた。
すると1つ空けた前の席で、お母さんに抱っこされている赤ちゃんと目が合った。その子は私と目が合うと楽しそうに笑った。そして私の方へと少し手を伸ばした。
それに気が付いたお母さんが私に頭を下げた。
「すみません。」
「いえいえ!」
「多分そのぬいぐるみのキーホルダーが気になったんだと思います…。うちにあるぬいぐるみと似ていて…。すみません。」
そう言われて私は膝の上に乗せていたバッグに付いているうさぎのぬいぐるみのキーホルダーに目を落とした。
「ああ!これだったんですね!大丈夫ですよ!」

